ヒプマイ2ndアルバム CROSS A LINE感想

 

 

耳の鼓膜をどついたれ~

 

ヒプノシスマイク2019年4月ぶりの新アルバム『CROSS A LINE』です。f:id:pyonkospica:20220614202905j:image

楽天発送は特製ケースがかわいい

 

発売10日くらい前から、各ディビジョンの新曲が毎日1曲ずつYouTubeにて公開されました。そもそもYouTubeプレミア公開のカウントダウンの音楽がむちゃくちゃ好きなのでそれだけでテンション上がりまくり。

さらにファンクラブではドラマパートが毎日お披露目されました。しかも今回は18人がシャッフルされるとなったからもう大変。組み合わせにドキドキ、内容にハラハラと充実したヒプマイライフを送ったのであった。個人的にはシャッフル、いつかやるだろうしやってほしいなぁと思っていたのでニッコニコでした。 
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これは2022年のヒプマイカレンダーなんだけど、今年はこういう風に自分で組み合わせが作れるやつだったんですよ。これが出た時点で今年はシャッフルやるんだろうなぁと思っていた。

 

というわけでCROSS A LINEの感想です

 

CROSS A LINE

実はアルバム『CROSS A LINE』というのはヒプマイの屋台骨インビジブルマナー様々の全員用の新曲『CROSS A LINE』と同じタイトルであるわけです。しかしながら新曲CROSS A LINEについては話の流れの都合で最後に感想を書こうと思います。とばします。

 

IKEBUKURO WEST BLOCK PARTY

なんとヒプマイファミリー(?)DJ U-ICHIさんの作編曲。DJ U-ICHIさんは2ndバトルの6ディビジョンミックスメドレー曲を手がけているんですが、これがもうエモと甘と辛の塩梅が完全にヒプマイを理解している人の作品だったのでこれはすごい人だと思っていたら、この新曲もやっぱりすごかった。試聴の時点でもいい曲だったけどフルで聞いたら最高に盛り上がるし気持ちいい!

Go Go Go Go My Way

Step Step Step Step by Step

の中毒性よ。

略すとIWBPとなり、神曲IWGPの大向こうを張る大胆なネーミングなんだけど全く名前負けしてない素敵な楽曲でした。私はこっちの方が好き。

 

Scarface

ヨコハマの新曲はScarface。アル・パチーノ主演の同名の映画があるそうだけど観ていないので何ともいえない。言葉としては「傷のある顔」という意味で、その名の通りこの楽曲は

流れる血は水に流されない

だとか

痣だけのこる

だとか

心の痣が消えていく

といった傷を連想するリリックが多い。

ヨコハマ、虫を食べてギャーみたいなおもしろディビジョンでもあるんだけどその一方で、おそらく暴力を受けて育った左馬刻、両親を一度に事故で失った銃兎、軍隊で生死を生業にしていた理鶯と、暴力と死の匂いのするメンバーの集まりでもある。この曲はそういう傷だらけなMTCをすくい上げたとことんビターな楽曲となっていて、そういうのもアリだなぁヨコハマだよなぁとうなってしまった。

また、理鶯が

cross the line

というCROSS A LINEを連想させるようなリリックを使っているのを聞いて、いま一番ヒプノシスマイクという物語(CROSS A LINE編か?)とのシンクロ率が高いのは理鶯なのかな…となんとなく思った

 

とりま Get on the floor

フリングポッセの新曲はなんと弥之助さんが登板。PCCSやStellaなど、ヒプ男ヒプ女がバッタバッタと五体投地しながら倒れていく名曲を生み出してしまうでらすげぇお方です。

今回の曲もかわいい!

そうそう、シブヤ優勝記念CDで夢野幻太郎がこの世のものとは思えないカエルの真似をしながら言ってたゲロゲーロゲが曲中の

Get on get on Get (on the floor)

で使用されていてにやりとしする。

そして私がいちばんいいなぁと思ったのが、この濃ゆい仲良し曲を歌い終わった最後の最後で飴村乱数が

なんてね

といったこと!!!

乱数ってわりとこういう茶化し癖というか、場の平行感覚を保ってしまう癖みたいなのがあると思ってて、ヒプマイGODの乱数パートでもうざいやらクソやらさんざん悪態ついた後に

なんちゃって冗談! 騙された? フザケ過ぎだよねホントもう… 

って自分でツッコミを入れているのでもうそういう性格なんだと思うんだけど、今回も最後に冷静になってしまっているのを見て最高だな飴村乱数うおおおおと興奮した。やはり弥之助さんはキャラ解釈が強い。

 

シンクロ・シティ

同じ連想をした方がいると思うんだけど、入間銃兎と毒島メイソン理鶯の楽曲『Private Time』のシンジュク版のような雰囲気の曲。今回Private Timeもアルバムに収録されたので聞き比べると面白いかも。

この曲を聞いているとくるりの『春風』をおもいだす。『春風』を聞いてるとはっぴいえんどの『風をあつめて』をおもいだす。だけど『風をあつめてを聞いても『シンクロ・シティ』はおもいださないので音楽というのはふしぎである。

全体的にaiで踏んでいるんだけど、神宮寺寂雷のaiの発音の美しく豊かでセクシーなこと!至福でした。

 

縁-ENISHI-

耳の鼓膜をどついたれ~

どついたれ~

どついたれ~

 

今回耳に残る度ナンバーワンリリックかもしれない縁。耳の鼓膜というなんかムズムズする表現が優勝です。仕事中隙あらば鼻歌で歌ってしまう恐ろしい曲。

白膠木簓の内省的なリリックや躑躅森盧笙の長いパートも見せ場だけど(盧笙ラップ上手くなったなぁ…)、天谷奴零が中心になっているのは間違いない。

Let me hear the voice sing again

(もう一度歌声を聴かせて)

と言っているので、原初のヒプノシスマイクの開発自体が妻の声を取り戻す目的から始まったのかもしれない…などと読みたくなる。一ヶ所だけ引っかかったのは

そこに理屈や理論は

という食い気味のリリックで、天谷奴零ってものすごく賢い人のわりに絶対そういう部分を見せない人だと思っていたからこの知的っぽいリリックはちょっとドキドキした。今回のドラマパートでも「俺はただの酒好きのおいちゃんさぁ」って言ってたし。

どちらかというと、DRB+の天谷奴零初登場時のリリック

本邦初公開

やHoodstar+で見せた

肝っ玉が冷やっこい

といったとぼけた雰囲気の、人を食った引き算のリリックを聴きたい天谷奴零…心臓に悪いので…

 

ところでunity(団結)はレゲエに宿る大切なメッセージらしい。だけど白膠木簓も天谷奴零も

地球の住民それぞれのUnity

という概念、頭では理解していても心の底ではあまり信じることが出来てなさそうなところがいい。一方盧笙は団結とか結束なんかの持つ力や可能性をわりかし真剣に信じてそうでいい

 

 

でらすげぇ宴

この曲は同じくナゴヤのR.I.Pとそっくりだと思っていたらなんと作曲の方が同じでびっくり。作詞作曲を同じ方がされていて、歌詞がとても素敵でした。

要は好きにやっちゃって

明日は明日でどうにかなんだろう

般若波羅蜜多なんちゃってな

とかのゆるい感じいいよね。

天国獄さんの

みてろ大人の無礼講

金ならあるぞ

という大人げないリリックが最高に好きすぎる。全体的にけだるく投げやりな雰囲気でこの曲がナゴヤ曲で1番好きかも

 

ドラマパートMixed Up感想

前提として、テレビの企画(Abemaか?)のために18人をくじ引きでシャッフルし前日から密着するというストーリーとなっている。

山田一郎と躑躅森盧笙と四十物十四がたこ焼き屋を開く。盧笙作の黒いたこ焼きを十四がブラックマターオクトパスインフェルノと名付ける。久しぶりにたこ焼きを焼くなんて腕が鳴るなぁとやる気の盧笙に「躑躅森さんはタコを切って下さい」といきなり地味な作業をふった一郎に大笑いしてしまった。

・独歩がオヤジ狩りにあい財布をとられる。碧棺左馬刻と観音坂独歩と天谷奴零がそれを追跡する。財布をとられたり取引先でビンタされたり無限残業したり3500万落としたりとにかくかわいそうな目にあいやすい観音坂独歩はたぶんヒプ界のちいかわ。

・飴村乱数と毒島メイソン理鶯と伊弉冉一二三はフリーマーケットに出店。乱数デザインのシグニチャー柄のスリーピースを着たひふみと、ピンク色の迷彩服を着た理鶯はぜひ見てみたい

・神宮寺寂雷、山田三郎、天国獄という高学歴チームが誕生してしまった。親睦を深めようとおかしとゲームを持ってきた三郎が子どもらしくてものすごくかわいい。中学時代の思い出として天国獄の奇術王ヘヴンのエピソードが語られてしまい、獄の恥ずかしい過去は天国ムーンだけではなかったことがわかる。全天国獄ファン必聴のエピソード。

・人気コーナー「商店街のヌルサラ」はまだ続いていた…白膠木簓と山田二郎と夢野幻太郎が黒門市場でコロッケパンを食べる。最後にはみんな行きたいところに行くのでバラバラになってしまうという自由さ。

・波羅夷空却が入間銃兎と有栖川帝統にラーメンをおごる話。ルナティックナイトメアラーメンのために空却のラーメンは酸っぱく、銃兎のラーメンは辛く、帝統のラーメンは甘かった。メシで遊ぶなという帝統のまっとうな指摘に心が洗われる。同じラーメンを食べた天国獄は泡を吹いて気絶し、十四は三日三晩泣いてたという話がかわいそかわいすぎてたまらん。

・盧笙の芸人時代は「水があれば十分」だった楽屋だが、今回の企画の楽屋には弁当が数種類ありお菓子もあることに驚いていた。盧笙、若手芸人から教師になったと思ったらまたヒプノシスマイクという芸能の世界に引っ張り出されて大変だなぁ。なにげに生き様の高低差がいちばんあるキャラクターなんじゃなかろうか

・理鶯はピンク色の迷彩服だけではなく、その後かわいくスタイリングされたらしく、最終的にどんな格好で戦っていたのかとても気になる。

・山田三郎、天国獄に向かい「お前みたいなめんどくさいおっさんには敬意を払えない」と、これまでヒプマイ界で禁句とされていた使用禁止ワードを言ってしまう。いらだった獄がいつもの“俺には我慢ならんもんが二つある”をやりだすと、「そういうところがめんどくさい」と完封。私が天国獄だったら泣いていただろう。三郎は天国獄の呼び方も最終的に「天国獄」から「弁護士」になり、もはや職業名になってしまっていたのが大変面白く、この三郎と獄のやりとりだけでアルバム代6380円分の爆笑を受け取った気分。

 

…と、さっとした感想だけどとても面白いドラマでした。今回のシャッフルチームで楽曲とか出ないかな聞いてみたいな。

というわけで最後に感想、インビジブルマナーさんの新曲

CROSS A LINE

言いたいことはいろいろあって、

急な夕立

珈琲サイフォン

横目にいつものコーラを注文

時間潰し ジャケ買いの本

という一郎のリリックは文学的な雰囲気がするけどたぶん読んでいるのはラノベなんだろうとか、

平行世界生き延びたイカロス

と歌う十四くんは生き延びた天国天であり、十四が生きていることはそれだけで天国獄の存在証明になっているんだなぁとか、

山田三郎の

兄達は選ばないペスカトーレ

別な方へ

という寂しいようなたくましいようなリリックに目頭が熱くなるとか、

 

あとはもうこれ、観音坂独歩の

お天道さんの下で食べる弁当

途中で買ったコンビニのおでんと

ちょい贅沢が越すラインは

思ってるほどには怖くないんだ

これ。これがつまり今回『CROSS A LINE』の集約のようなリリックで、普段の視点を転換しラインを越すのは怖くないというテーマをこんなにわかりやすく平易な言葉で描くのはほんとうにすごい。

CROSS A LINE、つまり

「通れない…」

場所は

「Skyline!」

というわけで、壊せない壁は飛行して行けばいいじゃんという曲なんですよ、たぶん。

視点の3D化というべきか、歩いて無理なら空飛んじゃえということです。一休さんのとんちみたいだ。

だからMVのモチーフは飛行機だし、

「飛行経路のシグナル了解、越えてけ境界、Pride」

という風に空をフライトする18人の描写で終わるんだろう、と個人的に解釈している。

 

 

ところで新曲『CROSS A LINE』では

マイクを通せないいまだ不完全な理想

って歌ってるし、ドラマでは「ヒプノシスマイクを使わないフリースタイルバトルをやってみたい」って言ってるし、新アルバムには“マイクを使わない”というテーマがあるようにも思える。ヒプノシスマイクの脱ヒプノシスマイク化というか。

最終的には、自分の声というのはヒプノシスのないただのマイクで伝えなければいけないんだ…という物語になるのだろうか。だとしたらヒプノシスマイク、少しほろ苦い成長物語である。

 

 

 

沈黙への供物、虚無への供物 少年マガジンエッジ2022年5月号『ヒプノシスマイク -Before The Battle- Dawn Of Divisions』感想

 

 

 

少年マガジンエッジ2022年5月号はフリングポッセの過去回でした。培養槽から生まれたての無機質無感動な飴村乱数が、いかにして今のヤリチン、じゃなかった。人気者になったのか…という秘密が明かされた。

どうやらキーパーソンは舞城華灯という青年で、読書好きなら名前を見た瞬間にワッと思ったはずなんですがおそらく元ネタが舞城王太郎

 

つまりフリングポッセ、

飴村乱数→飴村行

夢野幻太郎→夢野久作

有栖川帝統→有栖川有栖

舞城華灯→舞城王太郎

と、全員日本のミステリー?作家から名前を借りているわけです。シブヤは文学少女(少年)狙い撃ちですよ。こんなの優勝するに決まってるよおめでとうございます。

前々から舞城王太郎要素はヒプマイに噛んでるんじゃないかと薄々思っており、怪文書をしたためていたのでとても嬉しい。


もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話 - pyonkospicaの日記


サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ - pyonkospicaの日記

 

さて、飴村乱数の過去だけでなく他にも明かされたことがある。それは夢野幻太郎のデビュー作のタイトルで、『沈黙への供物』というのだ。またしても読書好きならワワッとなったのではないだろうか。今回のエッジは読むたびにワッワッとなるので我々はもうちいかわである。

『沈黙への供物』、これはもう元ネタが明らかに『虚無への供物』なんです。『虚無への供物』というのは中井英夫氏が書いたアンチミステリーの金字塔のような小説。

しかし恥ずかしながら未読だった。というわけでさっそく読んでみる…

 

ネタバレになるからざっくりした感想だが

・開始3ページ目で黄色い薔薇をくわえた水商売の青年が出てきて伊弉冉一二三のことを思い出し動悸がした。

黄いろの薔薇は花言葉が良くないのよ

という台詞がでてきて、もちろん一二三とは無関係なはずなのに幻太郎の壮大な嫌味みたいで震える。

・わりと前半でいきなり「存在しているのに存在しなくなった兄弟」(夢野兄…)が鍵となるストーリーとなり緊張する。

・主要人物のひとり、亜利夫は名前の近似性からアリスになぞらえられており、アリスガワとの類似にびびる

・ある水難事故が通奏低音として流れており、もしかしたら波羅夷空却(海が嫌い)のお母さんは海で亡くなったのかもしれないという可能性について考えてしまう

 

と、『虚無への供物』自体はアンチ符号的なスタンスの物語であるが、幸か不幸かヒプマイと符号しまくるということがわかったので皆さんもぜひ読んでみてほしい。

そうそう、エッジの5月号では有栖川帝統のお坊ちゃん時代の姿も一瞬描かれていました。白いブレザーを着て今より短い髪をして黒塗りの車で送迎されるという絵に描いたような箱入り息子だった。

 

そしてうっすらと浮かび上がってきた可能性。

飴村乱数は舞城華灯のまねをしている
夢野幻太郎は夢野兄のまねをしている

ということはシブヤはみんな誰かの真似をしており、オリジナルな姿をまだ見せていないのではないかという可能性。

じゃあ有栖川帝統も誰かのまねをして……
るのかと思いきや、実はもうあれは誰かのまねをやめた後の姿だったらいい。あの宿なし風呂なしモッズコートのギャンブラーこそが有栖川帝統の完成形だったりしたらすごくいい。

自分の生きる人生を愛せ、自分が愛する人生を生きろ

というのは有栖川帝統の座右の銘

自分の人生を愛するために羽化した帝統の後には白いブレザーだけが残され、柔らかい光を放っている

のかもしれない。

 

Fling Posseの冒険と伝説(ヒプノシスマイク 2nd D.R.B 優勝に寄せて)

 

音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』

そのセカンドバトルが先日開催され、優勝したのはシブヤ代表Fling Posseでした。

 

さて、今回シブヤが優勝したらすごいことがおきた。

何がおきたかというと、フリングポッセが工場のオーナーになったのだ。
これまで、名前も来歴も何もかも秘密と嘘で彩られた根無し草のようなフリングポッセ。そんな彼らに「工場」という確固たる居場所と、「オーナー」という立場ができたのだ。会社の名前も変わるそうだ。Fling Posse Inc.と名付けられるらしい。

 

これはすごい。

 

何がそんなにすごいのかというと、彼らの関係に名前が与えられ整備されてしまったのである。乱数はちゃんとゴダイさんに契約書を準備するように言った。つまり飴村乱数・夢野幻太郎・有栖川帝統は工場の持ち主という法的な関係になるのだ。

いつか中王区によるラップバトルが終わりフリングポッセが解散したとしても、彼らの関係は終わらない。なぜなら法律が「彼らは関係がある」と保証しているから。

その関係はいつまでも終わらない、
何十年も先の未来へと続く最強の絆なのだ。

 


いやぁシブヤはえらいものを手に入れたものだ。ラップバトルの優勝というのがキャラクターと物語にこんなにものすごい祝福を与えるのだということが解ってしまったら、第3回バトルはえらいことになるんじゃなかろうか。


あまりによくできた流れすぎて、幸せに臆病なオタクとしてはひょっとしてフリングポッセの物語、飴村乱数と夢野幻太郎と有栖川帝統の冒険はここで終わるのかもしれないと思ってしまった。
乱数と幻太郎と帝統はおじいちゃんになっても工場に通い仲良く遊びましためでたしめでたし…というわけである。

 

じゃあ乱数の飴と命はどうなるのか?という話には、「神宮寺寂雷がどうにかする」という一応のゴールらしきものが今回語られた。

 

幻太郎の兄には何が起こったのか?という話には手がかりが提示されている。
双子、鏡、病院、服をいじられると怒る幻太郎。

これらのピースを組み合わせればなんとなく見えてくるものがあって、数年前にブログで自分なりの答えを書いたけれどいろんな説はあるだろう

おれがあいつであいつがおれで 夢野幻太郎考察 - pyonkospicaの日記

夢野幻太郎という虚実のあわいに生きるキャラクターの、そのキャラクター性を守るために、あえてすべては語らず読者に真実を明かさないスタンスもあり得るのかなぁと思うのだ。

 

実はもう有栖川帝統にあまり謎はない。母との関係も語られている。なぜ有栖川の家を出たのか?という秘密が残っているが、本人が「賭場で生誕略歴は以上」と言っているのでそれ以前の過去は存在しないのかもしれない。

 

 

もちろん彼らの謎と真実が気にならないわけでは決してないし、むしろものすごーく気になる。
しかし長く残る伝説というのは、物語の頂点、一番幸せな部分で終わることも多かったりする。桃太郎しかり。シンデレラしかり。新世紀エヴァンゲリヲンしかり。

 


むかしむかし遙かな未来、シブヤに飴村乱数と夢野幻太郎と有栖川帝統がいました。3人はラップバトルで優勝し、そのお金で工場を買い取りました。乱数と幻太郎と帝統はおじいちゃんになっても工場に通い、末永く仲良く遊びましたとさ。

リズムの合間でまた逢う日まで
めでたしめでたし

 

 

 

 

 

いやしかし、「刹那の友」だったフリングポッセが優勝したら「工場の共同オーナー」という法的拘束力のある関係になり、刹那どころではないガッチガチの絆になったのほんとにほんとによくできた話です。すごいわヒプマイ。

 

 

ヒプノシスマイク2nd D.R.B シブヤ優勝CD『キズアトがキズナになる』感想


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わりと長かったセカンドバトル(2020年末から丸1年くらいやってたかな?)を経て、第2回ディビジョンラップバトル優勝チームはシブヤFling Posseでしたおめでとうございます!

 

ヒプノシスマイクはすごい。何がすごいかというと、優勝チームは日本のヒップホップのレジェンドから書き下ろし楽曲がもらえるのだ。前回優勝チーム麻天狼はなんとZEEBRA氏から楽曲が提供され、それがまあすばらしく神曲であった。Champion大好き。

そして今回の楽曲提供者はKREVA氏です。KICK THE CAN CREWKREVAですよ。ヒプ追いかけてて本当に良かった…

というわけで2022年3月16日発売の優勝CD『キズアトがキズナになる』の感想です。

 

 

キズアトがキズナになる

まずはKREVA氏提供の楽曲『キズアトがキズナになる』。ポップで可愛らしいトラックのループがとっても聞き心地がよく、さすがKREVA節という感じ。浮遊感のある雰囲気がフリングポッセにぴったりでした

 

UNITED EMCEEZ -Enter the HEXAGON-

リーダー6人が歌うという、ももクロ歌合戦の時以来ありそうでなかった楽曲。6人をヘキサゴン=六角形になぞらえている。

どうでもいい話なんだけど、『SUMMIT OF DIVISIONS』(2020年)のロゴ、中央の部分にすでに六角形=HEXAGONが描かれている。
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一方中王区のロゴも中央に六角形があったり

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つまりディビジョン側も中王区も六角形なわけです。ヒプマイってヘキサゴン対決なのかなーと思ったり

 

 

六色が交わる時、『』が始まる

ドラマパートその1。びっくりするくらいいろいろなことがおこり、因縁が解決する。バトル後の各ディビジョンの光景が描かれました。

イケブクロは二郎の精神的成長がエグい。完全に三郎をコントロールしているし、下手したら精神面で一郎に並んだかもしれない。

次は根性を努力で鍛えて勝利!その具体的方法は頭のいい三郎にまかせる!と二郎が言うのを聞き、合理的すぎてクレバーすぎて鼻血が出そうになった。

ヨコハマはとてもかわいい。左馬刻は語彙力を強化すべき、と言う銃兎にオレサマが馬鹿だっていうのかとキレる左馬刻。そこに乗っかる理鶯。馬公ウサ公を叱りつけ、馬とウサギは大好物な食材だとスピーチ。これたぶんみんな好きなやつ

シンジュク。一二三はお客さんから電話の嵐、独歩は課長(ハゲ)からの嫌味メールに情緒が壊れている。

オオサカ、ここも良かった。特に天谷奴零の映画の下りが最高に良くて、そうそう天谷奴はこういうキャラでいてほしいんだわ!とにんまり。3人ともマイペースなゆるさがあってしみじみ良い…

ゴヤは爽やかな後日談が描かれた。敗北を悔しがる獄の元にやってきた十四は前向きにランニングを始めることにしたらしい。ついでに走らされる獄。天国獄の十代に混ざって同じレベルで活動している感じ本当に好き

シブヤは夢野幻太郎の快演が光る。ラジオよりヤバいものが聞けるとは思わなかった。頭のネジを全部外した幻太郎はギガントメガント必聴です。ゲロゲーロゲ

 

今回新たな謎として提示されたのは東方天乙統女の目的は何なのか?ということでした。えっ、武力の根絶と男性排除以外にもさらに目的があったの乙統女様?

ヒントも明かされている

・乙統女には理想とする世界がある

・今のままの真正ヒプノシスマイクでは意味が無い

・勘解由小路無花果は何も知らない

・邪答院仄仄は乙統女のやりたいことがなんとなくわかる
・しかし乙統女のやりたいことは退屈だから仄仄は邪魔したい

 

はてさて東方天乙統女は何をするつもりなんだろうか。神宮寺寂雷によると邪答院仄仄の立ち位置は「邪悪」なので、邪悪なる仄仄が邪魔したいということは、乙統女は真正ヒプノシスマイクを使って世界にとってわりと好ましいことをしようとしているのか?

まあしかし、乙統女のやることは世界の未来にとってはいいことかもしれないが人間にとっていいことかどうかはわからない。東方天乙統女は武力の廃止をうたって総理大臣にクーデターを起こしH歴を作り上げた革命家であるからして、もともと思想的にだいぶん過激な人物なのだから…

ところで今回、碧棺合歓が全く出てきませんでした。もしかしたら合歓って「中王区の企みを何もしらなかったキレイな党員」枠になって、中王区解体後の政治を担ったりするのかな

 

クローン飴村乱数たちの気の毒な最期も描かれた。寂雷によると、

・シブヤの乱数の行動には迷いがある、つまり意志がある

・乱数の偽物に意志はなかった

・だから乱数は人間だ

ということらしい。人間と人間以外を分けるのは意志の存在だという、この寂雷式考え方はわりと生命倫理的に深堀りしたら大変なことになりそうなのでそっとしておきたい。たぶんデカルト心身二元論とかド・ラ・メトリーの人間機械論につながるのだろう。

まあとりあえず、この世に残り3体のクローン飴村乱数の生命機能が全員停止したので、飴村乱数は名実ともに世界でただひとりの飴村乱数になったわけだ。量産品から唯一存在となり、彼はクローンではなくなった。だけど結局乱数が助かる方法はわからずじまいで、乱数が絶対助かるかどうかは優勝しても明言されなかったのもよく考えると怖い話である。

 

そしてリーダー6人は和解するのであった。左馬刻はドラマパートになると勘が異様に冴えた人物になるのが良いですね…一郎に歩みよって謝るところもほっこりした。

左馬刻が簓を殴る

寂雷が乱数を平手打ち

勢いで一郎に殴られる空却

左馬刻が簓を殴る(2回目)

と、6人はとにかくどつきあう。簓が人が優しくしてたら調子に乗り腐ってと本音を言うシーンで爆笑してしまったし、良かったなぁと思う。いつも本音を隠して場の空気を読んでいた白膠木簓の本心をはじめて聴いたような気がして謎の感動があった。

あと好きなのは、生き残るためには日々の食生活を変えること…健康的な生活で身長も伸び年相応の性格になる…と寂雷が乱数に諭したシーン。24歳の成人男性が食生活を変えたからといって身長が伸びるのかというとこれは医学的に伸びないはずで、医師である寂雷ならそれをもちろん知っているはず。じゃあこのくだりは乱数に対する盛大な嫌味だったのかという解釈もできてしまったり。

 

Fling Posse Inc.

ドラマパートその2。シブヤの3人が賞金をどう使ったのかというお話。

つまり飴村乱数3500万

夢野幻太郎3500万

東方天帝統3000万→1億

の計1億7000万円でゴダイさんの繊維工場を買い取ったわけだ。

 

この話、

・もともと賞金で生地の開発をしたかった乱数

・ゴダイさんを援助したい帝統

のふたりは、実は賞金の使い道が本意のルートであるのだが、夢野幻太郎はもともとは賞金で貯金をしようと思っていたわけで、それを変更し会社を買い取った幻太郎はなかなか優しい人物のような気がする。

さて、シブヤは優勝してすごいものを手に入れた。彼ら3人は工場のオーナーになったのである。名前も来歴も何もかも秘密と嘘で彩られたフリングポッセに、工場という確固たる居場所と、オーナーという立場ができた。優勝したおかげで、根なし草である彼らの関係が法的に整備されたわけだ。そしてそれは何十年も未来へと続く最強の絆なのだ。

 

 

いろんなことがありすぎて大変なCDでした…リーダーたちは和解したし、ヒプノシスマイク第一部完といった趣だけどまだもう少し続きそうでもある。邪答院仄仄さんの演技むちゃくちゃ良かったですね…鈴を転がす声ってこういう声のことかなぁとドキドキしました。関係ないけど邪答院仄仄の始末書、名前とキスマークしか書いてなさそう。

 

ところでヒプマイのライブって「プレイグラウンド」と「バトルグラウンド」に分かれてるじゃないですか。そしてバトル期間は公式には「バトルシーズン」と呼称されていました。

じゃあそろそろ「下郎ども!興行のテコ入れのための新企画、シャッフルユニットだ!!」なんて「プレイシーズン」の始まりを無花果さんが告げたりするかも…なんて。

 

 

続き


Fling Posseの冒険と伝説(ヒプノシスマイク 2nd D.R.B 優勝に寄せて) - pyonkospicaの日記

【随時更新】ヒプマイARBの元ネタ・小ネタまとめ

 

ヒプ男ヒプ女のみなさん、みんな大好きヒプマイARB

ヒプノシスマイクのスマホゲーであるヒプマイARBでは、原案者さんじきじきに書き下ろされたイベントシナリオを月に2回も読むことができます。ある時は仮想空間でゲーム、ある時は入間銃兎と観音坂独歩の出会いの真相、ある時は闇鍋パーティー

ARBのシナリオを読むといわゆる「キャラクターの解像度が上がる」のだ。彩り豊かなヒプノシスライフのおともには欠かせない存在なので、とってもおすすめです。イベントを読むだけなら無課金でも大丈夫ですが、手間暇をかけたくないなら最初に数千円課金すれば楽勝。

 

さてそんなヒプマイARBスマホのゲームという小回りの利く媒体だからか、ヒプマイのメインであるドラマ&楽曲(年1回くらいで話が動く)よりもシナリオが軽く、ネタ成分が多く含まれています。古典のオマージュ、パロディ、引用etc。これがものすごく楽しくて毎回ニヤリとしてしまう。せっかくなので個人のわかる範囲で小ネタをまとめておこう!という話です。(ところでARBのシナリオにはメインシナリオとイベントシナリオがあるのですが、今回はイベントシナリオのみを対象にしています)

 

 

漫画ネタ

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金貸しが地下帝国を築き地下労働者を集めているのはおそらく『カイジ』の帝愛オマージュ


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「ウルトラスーパーデラックスギャンカス男」の元ネタは、『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』よりも藤子・F・不二雄の『ウルトラスーパーデラックスマン』かと思う。ウルトラスーパーデラックスギャンカス男(マン)と読んだならば、ばっちりつながるし


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「ソースの味って男のコだよな」は『孤独のグルメ』のセリフ


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これも『孤独のグルメ』より。「こういうのでいいんだよ、こういうので」


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こちらは『特攻の拓』です。「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった」

 

小説ネタ

ARBは小説ネタ・文学ネタがむちゃくちゃ多い。たぶん読書好きな方がいちまい噛んでるのだと思う。


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この二枚はセットで、どちらも山田三郎の作成したキャラクターの名前です。たぶん元ネタは「中禅寺秋彦」と「九十九十九」。どちらもメフィスト賞が生んだ探偵装置の名前。


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ソードアート・オンライン』かな?


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これは『ブギーポップは笑わない』で確定だろう


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クトゥルー雛人形ほんと笑う。ラヴクラフトの神話体系『クトゥルーの呼び声』からの引用です。


f:id:pyonkospica:20220308194507j:image「北へ往く隧道抜けて六花~積もり積もって銀世界~」というイベントタイトル。
隧道=トンネル
六花=雪
なのでまんま「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の言い換えであり川端康成の『雪国』オマージュ。


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サブタイトルの~誰が為に飴を練る~は、もちろんヘミングウェイ『誰が為に鐘は鳴る』のパロディ。


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階段から転げ落ちたら入れ替わった人格が元に戻るのは山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』です。『転校生』というタイトルで大林宣彦が映画化しましたね。


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イベントタイトル「なぜ、一郎に頼まなかったのか?」の元ネタは、おそらくアガサ・クリスティのミステリー小説『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』だろう

 

その他のネタf:id:pyonkospica:20220308200457j:image

物知りなフォロワー様が教えてくれたのですが、山田三郎が観音坂独歩にくれた今話題の小説『黝く落ちる空を見て、僕はただ悲しいふりをする』。これはおそらくBLANKEY JET CITYの楽曲『幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする』のオマージュ


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天国テミス獄の「テミス」とはWikipediaによると

ギリシア神話の法・掟の女神である

とのことです。弁護士の天国獄にぴったり


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「The Smashing Onions」にも元ネタがあった。

スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)は、アメリカのロックバンド。

90年代のオルタナティヴ・ロックを代表するバンドの一つ

こちらもWikipediaより引用しました。


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ここは「太陽にほえろ」の松田優作の名シーンのオマージュだと思います。

そういえば山田二郎三郎の『BB's City』は『Bad City』が明らかにベースにあるけど、『Bad City』は松田優作のドラマ「探偵物語」の主題歌でした。「東京に事務所を構え町の仲間と協力し依頼をこなす探偵」って設定も萬屋ヤマダっぽいです。山田家って松田優作がイメージにあるのかな…?


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モンハンだー


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夢野幻太郎がサイキックテニスで使った「二十八部衆」というのは仏教用語で、千手観音の眷属らしい。ということは二十八部衆を従える幻太郎は千手観音役なのかもしれない。千手観音は生きとし生けるものすべてを救いたい仏らしいので、幻太郎ってわりと慈悲の人だったりするのかも


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白膠木簓の部屋にある緑色の椅子はたぶんカリモク60のKチェア

 

山田兄弟の言い間違いまとめ
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二郎と三郎は他人の名前にもう少し関心を持った方がいいのでは

 

謎のコンテストたちまとめ

その1 ネクタイのコンテスト

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ネクタイの日、ネクタイ伊達男ナンバーワン!!!】

 

その2 雛人形のコンテスト
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【ホワイトデーだよ雛祭り!!ネオ雛人形コンテスト】

 

その3 飴作りコンテスト
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【ホワイトデー、飴ちゃんコンテスト】

 

理鶯のゲテモノ料理を食べた反応

まず、

・虫を食べた人

・虫以外の動物を食べた人

がいる。また、

・理鶯が調理した料理

・理鶯が手渡した虫を鍋にして食べた人

がいるから反応は参考程度でどうぞ


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もっともなことを言う山田三郎


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困る碧棺左馬刻


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入間銃兎にとっては悪魔の宴


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失神する夢野幻太郎


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大喜びの有栖川帝統


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神宮寺寂雷→禍々しい


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伊弉冉一二三→グロい虫に引く


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意外に高評価の観音坂独歩


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波羅夷空却はゲテモノを食べられるタイプ(これは夢の中の話なので実際は不明)


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サーベルタイガーには上機嫌な四十物十四、三葉虫の岩塩焼きには眉をひそめるのだった(これも夢の話)


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虫を前に無言の天国獄

 

 

ファンシーファンキーキャンディ

天谷奴零か佐藤という人物に化けるんだけど、なぜ佐藤なのかというと

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ホワイトデーにをつくる

→飴といえば砂糖

→砂糖だから佐藤

って連想ゲームの産物ぽい

 

ラッパーはトイレに行くのか?

アイドルはトイレに行かない…みたいな信仰をお持ちの方々がいらっしゃるかと思います。では、今をときめくH歴のラッパーはトイレに行くのだろうか?f:id:pyonkospica:20220629180939j:imagef:id:pyonkospica:20220629180952j:imagef:id:pyonkospica:20220629181004j:imagef:id:pyonkospica:20220709221517j:image
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行くようです。

ジローは子豚の名前なので置いておくとしても、ヒプマイARB、女性に向けたイケメンいっぱいコンテンツかと思いきやわりとしっかり排泄が描かれる世界なのでした。

 

 

くまなく探したらまだまだ面白い情報がある気がする。しっかり謎のタネが埋め込まれており、こういう宝探しというか元ネタ探しができるのもARBの魅力。今後も新しい小ネタがわかったら随時更新していきたい。拾いきれてないネタもたくさんあると思うので、何か情報をお持ちの方はぜひ教えて下さい@pyonkospica

 

おまけ

【個人的に好きなイベントベスト3】

3位 デンジャラス・ペンション

オチのスピード感が最高に好き。

2位 Salty Valentine

純粋にとてもいい話。子どもの三郎・十四と、大人の盧笙が織りなす優しい世界にほっこり。学校に馴染めない子どもと教師のチームでもある。

1位 邂逅相遇

これ、漫画版『のび太と鉄人兵団』とほぼ同じ構成のオチなんですよね。エモの極みです

 

ヒプマイARBイベント「邂逅相遇~ヴィンテージの代償~」感想



ARBのイベントについて感想を書くのが久々になってしまった

 

 

というわけでヒプマイARBの新イベント「邂逅相遇~ヴィンテージの代償~」です。

どういう話なのかというと、天国獄の大切なヴィンテージTシャツを破いてしまった波羅夷空却がイベントバイトをしてお金を稼ぐというお話。すると偶然山田一郎も同じバイトに駆り出されており、なんとイベントの司会者は白膠木簓だった…というわけなのだ。

いつも思うんだけど、ヒプマイってディビジョンについての物語であるから各キャラクターの居住地がバラバラなのだ。だから彼らの顔合わせの理由が毎回難しそうである。だけど白膠木簓の芸能人設定って、どこにでも無理なく顔を出せるから非常に自然だし便利そうだなぁ。

 

 

天国獄のバンドT
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天国獄は大学生時代は独り暮らしであるというのがコミカライズで判明しているので、実家住みのころというのは中学生とか高校生時代か。そんなころからコツコツバンドTを集めていた天国獄愛しすぎるだろう。The Smashing Onionsは何か元ネタがあるんだろうなぁ…知ってる方ぜひ教えて下さい

 

ネオ雛人形コンテスト
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一郎・空却・簓が集まったのは「ホワイトデーだよ雛祭り!!ネオ雛人形コンテスト」というイベントです。自作雛人形のコンテストなんだけど、優勝がクトゥルー雛人形で大爆笑してしまった。そんな禍々しいものを雛人形にするな!!ヒプマイ(≒百瀬祐一郎さん?)がたまに見せるこういう文学センスほんとに大好き

 

三人官男
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三人官女をそのまま三人官男にひっくり返すというの、むちゃくちゃヒプマイぽいなーという感じ。そういやヒプノシスマイク、初期は性別をテーマにしたストーリーで出てきた面もあるからか、当初はけっこうフェミニズム的な議論のタネになっていたな…というのを思いだした

 

山田一郎の先輩の会社
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どうでもいいけれど、山田一郎の先輩が働くイベント会社

・本番が明日明後日の段階でスタッフ不足が判明する

・ナゴヤまで来てもらった一郎の宿の手配を手違いでミスる

・イベントの目玉役の演者に手違いで間違ったスケジュールを伝えた(そして来なかった)

って、だいぶ呪われてるからどうにかしたほうがいいと思う。

 

波羅夷灼空最強伝説
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ここ完全に『らんま1/2』でほっこり

 

あじゃぱー
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あじゃぱーとは何か。伴淳三郎さんという役者さんが1951年に発したセリフで、当時の流行ギャグになったとか。そういやエヴァ真希波・マリ・イラストリアスも言ってたなぁ。簓の古典リスペクトを感じる一幕

 

一郎・簓・空却
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ひったくりを撃退してのひとこと。ここすごく3人の性格が出てるなーと思って興味深かった。

主観ベースで判断の早い一郎

未来のことを考える空却

まわりのことを考える簓

って感じ。特に簓はこっそり親の顔色をうかがいながら生きてきた、アダルトチルドレンな生い立ちを知ってるだけになんか切なくなってしまったよ。

白膠木簓のアダルトチルドレンぽさってこっちの深読みしすぎかなー、考えすぎかなーと思ってたんだけど、少年マガジンエッジで鴉月ルイさんの描くコミカライズの最新話、track11で

……ああ

こんな緊迫した状態やと悪い癖が……

と、“場の緊張が高まるのが苦手で、ギャグを言って雰囲気を緩和させたくなる”という描写があったので、やっぱりそういう傾向があると解釈していいんだと思う。f:id:pyonkospica:20220302193324j:image

空却と父が取っ組み合ってる姿を見て、仲良くていいと感想を言う簓…

なんというか簓には幸せになってほしい。

 

 


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さて、イベントも無事終わり、じゃあ天国獄のTシャツはどうなったんだということです。ここ数年市場に出てこない、20万円する貴重なヴィンテージを波羅夷空却は無事に弁償できたのでしょうか?

 

 

この物語、オチが漫画版『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』のラストシーンとほぼ一致している、とだけ書いておきます。つまりもんのすごくエモで涙出てくる。ARB史上1、2を争う綺麗なお話だったのではないだろうか。

 

なんだか懐かしくなり指が自然にアマゾンのサイトを滑っていく。

 

そして

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こうなる。

波羅夷空却が天国獄のヴィンテージTシャツを破いたら我が家に大長編ドラえもんが揃ったのであった。

 

 

『Double Trouble』と『タイガー&ドラゴン』

 

 

・左馬刻と簓の楽曲『Double Trouble』

クレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』
・ドラマ『タイガー&ドラゴン』

について勝手に思っていることを一度まとめておきたい。

 

まず『Double Trouble』です。これはコミカライズの特典曲でした。

 

歌うのは碧棺左馬刻と白膠木簓。目を引くのはその歌詞で、

俺の話を聞け 5分と言わずAll day

という部分、これはクレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』の

俺の話を聞け 5分だけでもいい

という部分があきらかに元ネタだろうと思われます。そういえば曲調も、ジャジーなピアノが効いておりとても似ている。

 

さて、曲の元ネタが『タイガー&ドラゴン』ならば、タイガーとドラゴンとは何なのか。誰かがタイガーで誰かがドラゴンなのか?じゃあ左馬刻と簓のどちらかがタイガーで、どちらかがドラゴンなのか?…というのが次に気になるところ。

しかし、この楽曲『タイガー&ドラゴン』は宮藤官九郎のドラマ『タイガー&ドラゴン』の主題歌らしい。

ということはドラマを見通さないとこの問いに答えは出ない。

というわけでドラマ『タイガー&ドラゴン』を視聴することになる。宮藤官九郎脚本は約束されたクオリティで、16年前、2005年のドラマだという年月はそんなに感じませんでした。

 

タイガーは劇中では虎児という名です。虎児は12歳の時に両親が一気に亡くなり、そこから笑うことを一切忘れました。そんな虎児がある時に落語を観て笑いを取り戻し、ヤクザからだんだん落語家になっていく。(長瀬智也さんが演じました)

一方のドラゴンは竜二。竜二は落語家の家に生まれ将来を嘱望された天才的落語家だったんだけど、今は落語家をやめてしまい、まったく別の仕事をしている。少し情けなく、虎児に比べると普通の青年。(岡田准一さんの役でした)

 

うーん、ヤクザなタイガーは左馬刻でいいんだろう。だけどドラゴンが簓かというとなんか違うのだ。簓の育ちやカリスマ性とメンタリティは竜二というより虎児の側に思えてならない。
…というか、左馬刻も簓も機能不全家族の元で育った傷ついた子どもなので、よく考えたらこの二人はもともとちょっと似ている。

ひょっとしたら左馬刻と簓は

『Double Trouble』で

「ダブル」「トラ」ブルだから

タイガー&タイガーなのかもしれない。

ちょうど簓はMC「トラ」ジックコメディでもあるし…などともやもや考えたり。

じゃあドラゴンはどこにいった?と思いながらドラマを観ていたら、竜二の過去が明らかになるにつれてドラゴンの輪郭が明らかになってくる。
竜二が落語家をやめたのは、板の上でおきた、ある辛い出来事がきっかけだったのだ。竜二は舞台で失敗をした。出てこないネタ、もつれる言葉、冷たい客席、静まり返る空間…

 

ああ、これと同じ景色を我々ヒプ男ヒプ女は見たことがある。躑躅森盧笙だ。

(比較的)幸せな家庭で育ち、「笑い」を楽しんでいたけれど途中で舞台をあきらめた竜二と盧笙。二人の姿がぼんやり重なって見える。
なるほど、左馬刻と簓と盧笙でタイガー&ドラゴンなのかもしれないなぁ。ためしに竜二を“天才芸人”と“挫折した元芸人”に分割して別々の人物にしたならばそのまま簓と盧笙のキャラクターの元ネタ要素になりそう。というか、左馬刻の暴力性とコメディアン適性はわりとガチで長瀬智也演じる虎児が元ネタの1人のような気がする。

ヒプノシスマイク、メフィスト系小説だけでなくいろんな作品が意識的にか無意識的にかわからないけれどサンプリングされていて、それが複雑な味わいになって面白い。最近元ネタ探しにはまっている。

しかし、ヒプマイを追ったおかげでドラマ『タイガー&ドラゴン』だとか西尾維新佐藤友哉みたいな「存在は知っていたけど触れたことはなかった作品」を摂取するきっかけができてとてもありがたい…


もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話 - pyonkospicaの日記


サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ - pyonkospicaの日記

 

 

 

ところで『タイガー&ドラゴン』の物語のラスト、竜二は決意し再び落語家として板の上に上がることとなるんだよね。白膠木簓と躑躅森盧笙がどついたれ本舗として再びマイクを手に取ったようにさ。