影との戦い 完甘戦記(または完甘医師はなぜ神宮寺寂雷に敗北したのか考察)

 

 

今回はヒプノシスマイクのコミカライズの話です。

具体的にいうと「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side F.P & M 2巻」について。

 

城キイコ先生の美麗な作画と漫画力の高さで毎回楽しみなんですが、最も素晴らしいのは完甘が出てくること

 

そしてなんと2巻の後書きには完甘が登場しているのです。

しかも、限定版と通常版で違う内容の完甘が!!!!!

 

 

 

 

興奮のあまり限定版と通常版、2冊とも買ってしまいました。

 

 

限定版のししかい

 

限定版の後書きにはオペ後に長椅子で一息つく寂雷と完甘のイラストが描かれています。

興味深いのはふたりの座高の差

神宮寺寂雷は195㎝もあるので、おのずと完甘を見下ろす形になっている。なんとも卑屈な完甘の表情が萌え。

 

完甘が寂雷に見下ろされてるように感じるのは単なる身長差も関係していた、ということがわかります。

でも完甘はそれが気にくわなかった。

 

だから2巻の1話目で完甘は足の届かない高い机に座っていたのかな・・・
見下ろされるのが嫌で、少しでも寂雷と同じ目線になりたくて机に登って待ってる完甘・・・不憫・・・

 

 

 

通常版のししかい

 

通常版の後書きはキイコ先生の解説です。

完甘のライムは光球のイメージ、

寂雷と完甘は光と光の対決だと・・・

 

この解説を読んで、なぜ完甘が寂雷に負けたのか少し考えてみました

 

 

光と影

 

まず完甘のヒプノシススピーカーなんですが、無影灯です。

無影灯というのは手術の時に術野を照らすライトのことで、読んで字のごとく影ができない仕組みになっています。

 

 

一方、神宮寺寂雷といえば

 

眠らない街 麻天狼 写し照らし出す 光と

 

そして

 

君らのとは質が違う
いや次元の違う理性を保つ

 

という歌詞のように、影や闇の存在を前提とした人物。狼だって夜行性。

完甘が闇の存在を「無いことにしたい」光であるならば、寂雷は闇の存在を「無いことにしない」光だと言えるかな。

この時点で完甘の視野の狭さ、寂雷の懐の広さに差があることがわかる。

 

 

 

完甘の敗因その1 属性

 

完甘が寂雷に負けたのには理由が2つあると考えてまして、まず属性の話なんですけど

寂雷のほうが属性が多いんですよ。

 

完甘の指向が無影灯に象徴される「光」なのに対して、寂雷の方向性はどうやら「光と闇」です。

 

「光」と「光と闇」の対決なら、二つの属性を持つほうが重層的で複雑な攻撃ができることでしょう。ましてやラップバトルなので使える言葉の引き出しは多いほうが有利なはず。勝ちを狙うなら使える選択肢は多いほうがよくて、「光」一本にしぼるとちょっと不安要素があります。

ワンパターンよりツーパターン。手数は多いほうが何かとフレキシブル。

というわけで完甘が無影灯で闇を消したのは悪手だったことでしょう。

そもそも光一本で勝負できるほどの光属性じゃないし、完甘先生。

 

 

完甘の敗因その2 世界の約束

 

そして完甘が負けたもうひとつの理由は、ヒプノシスマイクという世界を生きるルールが関係していると思っています

 

 

Hood star」で歌われています

ノイズも飼いならせばいいのさ
チープなプライドじゃ
たちまちに喰われちまうぜ


壁に書かれた嘘に唾を吐き
泣き喚いてちゃ置いてかれんぜ

 

 

つまり大切なのは

ノイズを飼いならすこと

嘘に触れても泣き喚かないこと

 

 

ヒプノシスマイクの世界で生き残るためには正しい音や真実だけをみているだけではだめで、騒音や嘘を受け取る力、清濁併せ呑む姿勢が必要なようなのです。

 

 

なので無影灯でみずから闇を消し、光しか見ようとしなかった完甘はヒプノシスマイクの原理に反していた。だから世界に祝福されなかった。なので負けた。

 

 

神宮寺医師と完甘医師

 

また、無影灯は(たぶん外科医の)完甘医師の商売道具なんですが、完甘、過去に実際のオペの腕で寂雷に負けちゃってるからね。

難しいオペの途中で寂雷に交代してもらってたから。それが誘因となっていろいろやらかしてシンジュク総合病院から異動になってるから。

完甘にとって無影灯は敗北のシンボルでもあるはずなんです。

 

 

それなのに・・・

実際の無影灯の下で敗北したのにもかかわらず、再びラップバトルで無影灯を出してくる完甘の勝負センスの無さはどういうことなのか。

 

 

結局完甘は本物の無影灯の下で寂雷に負け、

幻影の無影灯の下でも寂雷に負けました。

 

 

 

つまり、ヒプノシススピーカーとして無影灯を出した時点で完甘医師の勝ち筋はなかったということでしょう。

すべての敗因は無影灯にある、ということです。というわけでもし再戦があるならばスピーカーを変えたほうがいい。

完甘先生、ご検討いただければ幸いです。

 

 

 

 

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