平坦な戦場で僕らが生き延びること ヒプマイ2020年12月感想

 

 

躑躅森盧笙はオモロイな、という話を中心に12月のコミカライズについて感じたことなどをつらつらとまとめました。

 

 

山田一郎と碧棺左馬刻

少年マガジンエッジ連載のヒプノシスマイク-Before The Battle-Dawn of The Divisions prologueを読みました。TDD編についで各ディビジョンの結成前のお話が描かれる模様。

プロローグとして12キャラクターが登場したんですが、気になった点がひとつありました。

山田一郎が登場したのは兄弟げんかをする二郎と三郎の頭をはたいて説教する場面。そういえば一郎が二郎と三郎の頭を叩くシーンはよく見る気がするぞ。

碧棺左馬刻は相変わらず街でチンピラ?をボコってました。通常営業だ。

 

これ、ふたりとも要は暴力。

確かに一郎は兄弟げんかの仲裁として頭をはたいただけなんだけど、本来兄弟げんかをいさめるのには言葉だけで十分なんじゃない?

実は山田一郎・碧棺左馬刻はともに暴力/武力/腕力側の人間であり二人はよく似てるんだと思う。一郎は武力の表出の仕方がマイルドなので腕力系キャラとしてはふんわりしているが・・・

別のヒプマイコミカライズによると、けっこうネームなどに原作者指定が入るそうなので、この一郎と左馬刻の暴力カノンも意図されたものなのかもしれないなぁと思うのです。

 

一郎と左馬刻は似たもの同士。これだけでも興味深いんだけど、じゃあ碧棺合歓がそのことに気づいたら?

信頼していた山田一郎が、実は兄と似たような衝動性を根元に抱えていると知ったら?

 

そういうのをコントロールできている(本当にできているのだろうか?)一郎くんは素敵!となるのかもしれない。

 

結局男なんて根っこは同じだとニヒリズムが芽生えて、今度は自分の足で中王区に行くのかもしれない。(このルートは物語として最高に面白いと思うんだけど実現しないだろうな)

 

 

神宮寺寂雷と観音坂独歩と天国獄

神宮寺寂雷と観音坂独歩が出会い、そしてすべてが始まった
かと思いきや寂雷と天国獄が中学校で出会った時に運命の歯車は回り出しているっていうね・・・

 

 

四十物十四

ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- side D.H.&B.A.T.の話です。当時衝撃的だったナゴヤのコミカライズ、ゆっくり読み返したら四十物十四くんの立ち絵ポーズって大好きな「夢紛」のボーカルの完全コピーなのね。ナポレオンジャケットも一致。
「我こそがオリジンなり」って言ってるけどやはり今の段階では模倣のレベルなわけで、いつか十四くんが自分の型を見つけられたらいいですね

 

 

躑躅森盧笙

これも同じコミカライズの話。

beat8にて芸人の夢破れた躑躅森盧笙が実家に帰り、大学に通って教師になろうとする様子が明らかになりました。

 

・実家のソファにスウェット姿で寝転び、白膠木簓が出るテレビを眺める盧笙(テーブルにクッキー完備)

・「ご飯できましたよー」の声に「はい・・・」と答え立ち上がる盧笙(22歳)

・「自分に才能がないと感じ」ている盧笙(面接の場で言っちゃう)

 

これを読んで岡崎京子の「リバーズ・エッジ」が頭に浮かんで仕方なかった。1994に描写された空気感はもはや古典だし大震災や疫病を経験した今の時代にはピンとこない物語になったかもしれないけれど。(私が初めて読んだ時点ですでにちょっと古いなぁと感じていた)

あらかじめ失われた子供達。すでに何もかも持ち、そのことによって何もかも持つことを諦めなければならない子供達。無力な王子と王女。

(リバーズ・エッジ あとがきより引用)

 

しかしながら盧笙の裏テーマはこれだとひそかに感じました。彼を襲う豊かさと虚無感。

なぜ盧笙は虚無を抱えたかというと笑いの才能がないことを本人が知ってしまったから。

 

以前、ヒプノシスマイクってのは欠落を埋めようとする物語なのではないか、という文を書きました。


ヒプノシスマイクと家族についての一考察(オオサカ・ナゴヤコミカライズ感想) - pyonkospicaの日記

山田兄弟には両親が欠けている、碧棺左馬刻にも両親が欠けている・・・というふうに、18人には欠けたところがあり、その欠落がヒプノシスマイクでは輝くのかもしれないという話です。

でも外側から見る限り、盧笙は何かが欠けているようには見えません。

家族は存命だし裕福そう。いじめを受けて亡くなった兄弟もいない。寝転んでいたらご飯が出てくる。クッキーだって食べ放題。

 

実は盧笙の欠落は内側にあって、外側からは見えないんだよね。でも盧笙が苦しんでいるのは確かで、芸人をやめてもあがり症は治らなかったしテレビをつけたら白膠木簓が映る。躑躅森盧笙の辛い人生はまだまだ続く。

 

終わりなき日常を生きろ

あるいは

戦場のボーイズ・ライフ

そして

平坦な戦場で僕らが生き延びること。

 

物質的豊かさと精神的空虚さが合わさった、1.5ダースでは珍しいタイプの不幸さを持つキャラクターだなぁと感じます。

(そして盧笙はあまり人気のあるキャラクターではなさそうだけれど、好きな人には愛されるだろうしぜひ幸せになってほしい)

 

 

毒島メイソン理鶯

ヒプノシスマイクと軍で開発されたマイクは別物で、軍用は使用者に多大な負担がかかる?!???軍人でもスピーカーを出せる奴はほとんどいない??!!?

まさかの理鶯強キャラ説。ARB初イベントの主役を任されていたり、なにげに注目の人物なのか?

理鶯のマイクは軍用のプロトタイプなので、今後理鶯には何かが起きるかもしれない。トラップ反応かな?

 

 

観音坂独歩

・起床時間が8時らしくて無茶苦茶うらやましい。社畜の朝は意外に遅いようだ

・立ち絵にもある舌をべーっと出した姿、あれは降参のパフォーマンスのようであり威嚇のポーズのようでもある。そういう白と黒、おどおどとブチ切れの両輪を揺れ動くのが独歩ぽいし、白と黒を混ぜたらグレー=麻天狼のチームカラーになるのもよくできた話だね。