もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話

 

ヒプマイARB新イベント「The KING of TENNIS 前編~超極限・サイキックテニス~」を読んでいたらとても懐かしい名前が出てきましたf:id:pyonkospica:20220111195503j:image

山田三郎が九十九三郎という名前でゲームをプレイしていたのです。ARBをプレイしているミステリ好き、読書好きの方はおそらく一斉に悲鳴をあげたのではないでしょうか。

 

九十九十九か…!

 

九十九十九とは何か。(四十物十四みたいだな)

九十九十九とは清涼院流水の生み出した探偵の名前です。でも、なぜここで「これは九十九十九由来だな」と我々が確信するのかというと、山田三郎には前科があるのです。

それはこちら

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中禅寺(秋彦)…!

山田三郎は中禅寺という名前も使用したことがあり、「中禅寺」「九十九」ときたらこれは両方ともメフィスト賞受賞作品の主役級登場人物で、役割としては「探偵」の名前なのです。(中禅寺秋彦の肩書きは探偵じゃないけれど装置的には探偵でいいはず)

メフィスト賞講談社が発行する文芸雑誌『メフィスト』から生まれた公募文学新人賞。未発表の小説を対象とし、『究極のエンターテインメント』『面白ければ何でもあり』という特徴がある、ようだ。

 

中禅寺秋彦
→『姑獲鳥の夏京極夏彦(第0回)


九十九十九
→『コズミック』清涼院流水(第2回受賞)

と、山田三郎の好きなかっこいい名前はどうやらメフィスト賞作家の探偵から借りている。

ということは、おそらく山田三郎はハサミ男(第16回受賞作)も読んでるし六枚のとんかつ(第3回)も読んでる。六枚のとんかつを読みながらこれ占星術殺人事件とどう違うんだと真顔でツッコんでいる。森博嗣(第1回)も読んでるし西尾維新(第23回)も佐藤友哉(第21回)も読んでる。山田三郎の中二病的センス(他にどう形容したらわからないのでごめんなさい)なら、メフィスト賞を好むのもなんかわかる。

 

メフィスト賞作品はたいてい講談社ノベルスから発売されるので(今もそうなのかな)、山田三郎の本棚には講談社ノベルスのぶっとい本がたくさん並んでるのかも。山田一郎はラノベを読むのが好きだし、ベクトルは違っても山田兄弟は読書が好きみたいです。

 

さて、九十九十九という探偵を生んだのは清涼院流水なんだけど、清涼院流水トリビュート作品として舞城王太郎も探偵九十九十九を元にした作品『九十九十九』を書いています。そして実は産みの親である清涼院流水九十九十九より、舞城王太郎版の九十九十九のほうが有名だったりしたりしなかったり。なので山田三郎の「九十九」は清涼院流水舞城王太郎のどちらを借りたのかほんとのところよくわからない。

 

舞城王太郎ももちろんメフィスト賞受賞者で、第19回『煙か土か食い物』にてデビューしています。(ほんとに最高に面白く疾走感にあふれ、文学的味わいのある作品なのでぜひ読んでほしい。斎藤壮馬さんも好きな小説にあげているそうです。余談ですが斎藤壮馬さんは『猫のゆりかご』も好きらしく、一度会えたらぜひ本の話をしてみたい)

そしてヒプマイも舞城王太郎も大好きなのに今の今まで気づかなかったんだけど、『煙か土か食い物』の主人公、奈津川家の人たちって四兄弟で、

奈津川一郎

奈津川二郎

奈津川三郎

奈津川四郎

っていうんでした。あれ、ひょっとして山田兄弟の名前(山田一郎二郎三郎)ってここから来たのかも???ちなみに奈津川家は背が高いという特徴があり全員身長が180cmを越えているというのも山田家と似ている。三郎はまだ齢14なので除外

 

 

そんな奈津川家は数々の問題に悩まされるのですが、その中心にいるのは奈津川四兄弟の父、不器用にしか子どもたちと関われなかった奈津川丸雄です。Wikipedia奈津川丸男の項には

頬に三日月の傷があり、他にも全身に無数の傷跡を持つ。

と書かれており少し天谷奴零を彷彿とさせる。

天谷奴零(AMAYADO)のアナグラムは山田零になることは有名ですが、『煙か土か食い物』も、ラストにあっと驚くアナグラムにてある人物の正体が明らかになるのでご一読下さい。ちなみに奈津川四兄弟の母陽子は

連続主婦殴打生き埋め事件の被害者となり、眠り続けている。

となっていますが、そういえば、いまだにちらっとしか話が出てこない山田家のお母さんってどうなっているんでしょうね…

 

 

というわけで山田家と奈津川家の共通点は

・一郎二郎三郎という名前

・180cm越えの身長

・傷だらけの父と間違った愛

・母の不在

となります。

さて真相はいかに?

 

そういえば夢野幻太郎と有栖川帝統のコミカライズシナリオ『奇術館の殺人』に出てきた探偵はカガミキヨシという名前でしたが、メフィスト賞鏡公彦というキャラクターも生んだんだった(『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』第21回受賞佐藤友哉)。ヒプノシスマイク、そこかしこにメフィストの気配がするなあ…

 

【追記】

久しぶりに『塗仏の宴 宴の始末』(京極夏彦)を再読していたら「芦笙(ろしょう)」という楽器が出てきて、しかも物語中でわりと大事な役割を果たしていたから驚いた。オオサカディビジョン躑躅森盧笙こと盧笙の名前も京極夏彦リスペクトだったりして…?

 

 

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サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ - pyonkospicaの日記