アンジェリークルミナライズ感想 恋と女王の令和

 

アンジェリークルミナライズことアンミナの感想です。

はじめに申し訳ない話なんですが、私はアンジェリークspecial2しか真面目に遊んだことがありません。デュエットやネオアンジェリークもクリアした記憶はあるがそんなに刺さらなかった。トロワは初日で投げ出した。アンジェリークシリーズは歴史が長く深いけれど(開発グループルビーパーティーは27年目らしい)自分は良いアンジェリーカーではまったくなくて本当にごめんなさい。

なぜspecial2を愛してるのかというとリュミエール様の髪型とオバケのQ太郎のような白いシルエットがどうにも好きだからです・・・我ながら変な理由・・・

special2のリュミエール様が好きだということでお気づきの方がいるかもしれないけど、つまり髪を結ったリュミエールが大好きなのです。

なので私のリュミエール様は永遠に肩で髪を結んでいるのだ。リュミエール様が髪を結んでいるのはspecial2とスウィートアンジェというごく短い期間だけなので、シリーズ的には異端のキャラデザを愛してしまったアホです。だからリュミエール様が髪を下ろしてしまうトロワ以降ははまらなかった。(あと細かいことを言うと、協力者が守護聖になるというどうにも都合のよい展開が飲み込めなかったというのもある。セイランは一生ふらふらとした気ままな毒舌芸術家でいてほしいし、彼が愛をもって世のため人のためにサクリアを使おうとするとはどうにも思えないのだ)

 

そんな不真面目なネオロマンサー、アンジェリークの新作が出ると聞いてもそんなに浮き立ってなかったんだけど、ある日カナタのTwitterの存在を知ってしまった

カナタは2021年5月には水の守護星として登場するのが発表されてるんだけど、なんとこの4月のTwitterではまだなんにも知らずに現代地球的な高校生をやっている。ということは、カナタはゲームの発売日までに聖地に拉致されることが確定しており、我々はリアルタイムにそれを見守るしかない・・・というなんともスリリングな仕掛けが施されていたのだ。

この時点で、あっアンジェリークルミナライズ、今回ものすごく良さそう、ということに気づく。

 

そんなこんなで発売日

25歳、独身会社員──

なんで私が女王に??

というとおり、ルビーパーティー25周年企画だからなのかオタクの高齢化なのか、主人公の年齢は25歳になっていた。これまでのアンジェリークシリーズの主人公は17歳女子高生というのが定石だったので一気に年を取りました。これね、そのうちアンジェリーク40歳とかになりますね。世界初の乙女ゲー開発者であり原点かつ頂点であるルビーパーティーならやってくれると信じています。

 

個人的に嬉しかったのがこれf:id:pyonkospica:20210530110124j:image

アンジェリークシリーズというのはプレーヤーの星座と血液型で各キャラクターとの相性が決まります。これまでのシリーズである神鳥・聖獣のキャラクターと現実の私の星座・血液型の相性が悪すぎて、私のアンジェリークはずっとしょんぼリークだったんだけど、苦節27年某座某型、今回はなかなか「当たり」でした。(たぶんこれはプレーヤーへの救済措置で、神鳥聖獣の時に楽な相性だった方は今回はいまいちなんじゃなかろうか)

というわけでとても楽にプレイが進む。目をつぶっていても相性のいい守護聖がやってくるので楽しい。

 

・・・・・

 

そしてこれはヤバいゲームでした。

私はいまヒプノシスマイクを追っているんだけど、ヒプマイの何が好きって彼らが人間的にとんちんかんでぶれぶれで適当なところなんです。すぐ暴力で解決しようとするし、なぁなぁで流れるし、酒ばっか飲んでる。そんな、不揃いな人間くさいところ、彼らのどうにもならない部分がとっても大好き。

 

しかし、どうやらアンジェリークルミナライズにもそれがあるんですね。それとは何か。いうならば魂のようなもの。

もともと、アンジェリークシリーズはキャラクター造形が巧みだった。乙女ゲーは数あれど今もアンジェリークが伝説となっているのはキャラクターの内面の複雑さ、バランス感覚の配分が優れていたに違いないと思っている。

例えばオリヴィエ様。オリヴィエ様の派手な女装(?)とシニカルな性格のバランスは初出27年前のゲームとは感じない。聖地は、フェミニンな見た目のキャラクターは優しく、いかついキャラクターはマッチョであれ・・・という世界ではなかった。なよなよしたオリヴィエ様は辛辣なことを言ってくるし、ゴリゴリな見た目の軍人ヴィクトールは優しいことを言ってくれる。今から30年近く前のゲームなのに、ツボを突いてくるんだなこれが。

セイランの造形の素晴らしさも外せない。

僕って綺麗だと思う?

ふーん、そうなんだ興味ないけど

みたいなやりとりに腰を抜かした記憶がある。セイランの皮肉っぽさと素直さと投げやりさの混ざったいきいきとしたキャラクターはほんとうに衝撃だったなぁ。セイランは現代でも一線級で通用すると思っている。

 

そんなルビーパーティーが25周年で本気を出したらまぁ大変。今回の守護聖、どいつもこいつもトンチキでポンコツで、むちゃくちゃ可愛い!

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アンジェリークシリーズでは一番権威があるとされる「光の守護聖」であるユエ。

首座の守護聖からしてもういきなりセリフがおかしい。別宇宙の首座の守護聖であるジュリアス様(CV神宮寺寂雷)が聞いたら眉をひそめること間違いなしの言葉遣いである。また、私のユエの第一印象は「えらい丸顔だな」であった。だいたいアンジェリークシリーズというものは偉くなればなるほど顔が伸びるフシがあるのでユエの丸顔からしてもう偉くなさそうな予感がひしひしとする。しかしながらユエ、とても可愛い

ユエというのは中国語で月だったはず。ジュリアス様が太陽の光だとしたらユエは月の光の守護聖なんだろうな。

さて筆頭守護聖がこんな隙だらけな人なので令梟の守護聖はポンコツ揃い(すごくほめています)。

令梟の守護聖は威厳が足りない・・・みたいなセリフも作中に出てきた通りで、確かに神鳥の光の守護聖ジュリアスはジュリアス様だが、令梟の光の守護聖ユエをユエ様と呼ぶ気にはなんかなれない。


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みんな大好き風の守護聖ヴァージル。

今回アンミナをプレイした乙女の8割はヴァージル沼にはまったのではないか。癖のないルックスに残念な中身ときたら令和のオタクは大好物ですよこれは。

 

目の下に泣きぼくろが二つあるということで山田二郎に似ているとしか認識してなかったけど、相性がいいためとにかく彼のシナリオが進む。結果むちゃくちゃ可愛いです。おそらく平時では余裕のある人格なんだろうに、シナリオ中の彼はただただオロオロ狼狽して錯乱して暴走しており単なる挙動不審な人である。なんと情けない王子様なんだろうか。

そういえば神鳥の風の守護聖だったランディ様も、昔のジャニーズのような気持ち悪いくらいの爽やかさと天然さはある意味ポンコツ枠だったなぁ。ポンコツキャラは風の守護聖のお家芸なのかもしれない

ヴァージルは

・敬語キャラ

ハーブティー好き

という点でリュミエール様の後継キャラクターなのではないかと勝手に決めつけている。間違いなく今後キャラクターグッズとしてオレンジサファイアのネックレスが発売されるのに備えてヴァージル貯金を始めました。

 

あとはやっぱりサイラスf:id:pyonkospica:20210530122659j:image

アンミナの底知れなさ、ヤバさを象徴するのはやはりサイラスなんではないか。レタスでうどんを挟んだものを朝食に持ってくる執事サイラスこそがルビーパーティーのひとつの到達点であると断言できる。働く女性向けの雑誌を読んで考えたというポットラックパーティーのお題のセンスも狂っていて素晴らしい。「給湯室で立ち話するくらいの微妙な距離感の先輩に誘われたら…?年上同僚女性ばかりのランチ会★」に持っていく手土産を考えろと?ファンタジー世界でいきなりなんなんそのリアリティ・・・・・・胃が痛い・・・

 

サイラスは声優さんのはじけた演技がすっばらしく最高で、静止画だけでは魅力がまったく伝わらないのでぜひプレイしてほしい。サイラス攻略ルートが存在しないというのが恐ろしい話で、追加コンテンツで来るんだろうけど・・・

 

ファミ通の調べによるとアンミナは初周1万本少ししか売れてないらしい。丁寧に面白く作ってあるのでここから口コミでじわじわ伸びる気がするけれど、この素晴らしいゲームに触れないのは勿体ないので全乙女は今すぐswitchと共に買うべきだと心底思っている。

 

そして。

これまでは恋か女王かだったアンジェリーク世界なんだけど、今作は恋も女王も目指すというシナリオになっている。それどころか定期審査に一勝してないと恋愛エンディングが発生しないというシステムとなった。無能なニートには守護聖に告白する資格すら与えられないのだ。

平成のアンジェリークは恋か仕事のどちらかしか追わなくてよかったが、令和のアンジェリークは恋も仕事も両方手に入れることを良しとされた。さながら女性活躍社会である。現実世界も女王候補も、我々には少し世知辛くほろ苦い未来が待っている。