ヨコハマ・ディビジョン『.MAD TRIGGER CREW』感想

 

ヘイヘイヘーイ

2024年7月24日、4年ぶりのヨコハマディビジョンのCDが発売されました。

ELRからちょっとした寿司がのりそうな大きなアクリルブロックも届きましたヘイヘイヘーイ

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普段は毎回曲とドラマトラックを分けて感想を書くスタイルなのですが、今回のヨコハマ編は楽曲とドラマが混然となっている印象を強く受けたのでダーッと一気に書くことにします。

 

まず思ったのは、ヒプノシスマイクというコンテンツに何がどえらいすごいことが起こりつつあるということ。これまでの中王の興行としてのショーだった、物語的にはある意味牧歌的で予定調和だった(もちろん投票ガチ勢にとっては牧歌的でも予定調和でもなかったのだが)1st、2ndとは異なり、3rdはこの先の国のあり方を決めるようなバトルになりそうだな、ということ。ひょっとしたらこれまでのようなディビジョンラップバトルとしては一区切りつくのかもしれないな、ということ。

 

先月発表されたイケブクロのストーリーでも思ったけれど、今回の7連続CDのテーマはおそらく「これまでの自分の価値観からの脱却と成長」みたいな感じだと思う。

山田一郎は大勢の意見をまとめるにはヒプノシスマイクでのバトルでは立ち行かなくなるケースを知り、「対話」の重要性を知った

山田二郎が学んだのはたぶん「経営者としての視点」だろうなー、と。二郎はこれまで、一郎社長の元で手足となり動いていたが、旅先で出会った社長&魚屋の店長という2人の経営者と出会い、話を聞いたことで、将来的に二郎は一郎から離れて何かを自分で経営する人になるよ…という未来が物語的に示唆されたんだろうなーと思っている。

山田三郎は非テクノロジー的なコミュニティの価値を学んでいました。これは綾波レイが田植えしてたオマージュだと思う。二人とも頭でっかちな魔法使いのフォーティーンだし。

で、今回のヨコハマ。

銃兎が新曲『Awake』でも述べており、左馬刻様がドラマのラストで丁寧にまとめてくれたとおり、ヨコハマが目指すものは暴力・権力・武力とは違う力を探すことのようです。(その力ってつまりは「対話」な気もする。広義のコミュニケーションであるなら「音楽の力」かもしれない。一郎と左馬刻様って思想的に同じだったりするのかも?)

左馬刻様が息を吐くように身近にある暴力、銃兎が大好きだった権力、理鶯のアイデンティティ的なアイコンでもあった武力、それらからMTCは距離を置き見つめ直す、というのが今回ヨコハマ編の内容でした。どうやら今回の7連続CDはみんな強風に煽られているビジュアルぽいけれど、もしかしたらシナリオに「逆風に立ち向かう」「新しい風」みたいな共通テーマがあるんじゃないかと思う。それは外からの風であったり、自分の中の価値観を吹き飛ばす嵐であったりするんだろうけど。

やっぱり衝撃的で今回何より強烈なパンチだったのが理鶯の新曲のリリック「争いはエンタメじゃshowじゃない」って部分。さんざんディビジョンラップバトルを興行として提供していた中王区全否定でギャッとなったし、諾々ととディビジョンラップバトルを享受しH歴の観客になっていた自分も撃ち抜かれ息が止まった。理鶯、静かながらめちゃくちゃ怒ってるじゃないですか。

もっと言うと山田一郎が「バトルから対話へ」という気付きを得たり、理鶯が「争いはエンタメじゃshowじゃない」と歌ったり、あの世界のみんなもディビジョンラップバトルというヒプマイのシステム自体に疑問を持ち始めているってことだと思う。7年目にしてそんな自己批判的な物語を紡ぐのクールすぎんか、ヒプマイ。

ストーリー的にはあの不思議で恐ろしいマイク、“ヒプノシスマイク”からの脱却が始まりそうで、ゆくゆくは第一部完なのかもなって淋しい気配がするなかで、新曲『Backbone』で「物語はまだ序章」と力強く歌ってくれたサマトキ様の背中がものすごく頼もしく大きく見えたのは事実。

 

あと、入間氏はこの前は悪漢に縛られて靴を舐めろとか言われてたし、今回は縛られて給水塔ともども爆破されそうになっていたし、入間氏を縛りたい人がコンテンツ内部にいる気がしたぞ。たぶんバえるんだろうな。これは私のシックスセンスです。ヘイヘイヘーイ

 

その他感じたこと

・今回のテロは仄仄さんも知っていた、下手したら一部手を引いていた?ようだし、仄仄さんもラスボス編に向けて着々と成長しているのだろうか

・19歳の合歓が指揮をとってるあたり中王の人材不足を感じて嫌にリアルだよな

・コンテンツ始まりからずっと理鶯の行動原理の根底にあった、少佐殿との訣別がなされてしまったのが泣けて仕方がなかった(といってもあれラストでは旧軍が加勢してくるフラグですよね) 世にも珍しい理鶯の敬語が聞けたのも泣けた ああ理鶯 どこへ行く

・イケブクロもそうだったけれど、問題が三すくみになっているというのも裏テーマなのかもしれない。イケブクロなら「商店街を売る派」「土地を売り商売を続ける派」「現状維持派」だったし、今回は「旧軍」「中王」「ヨコハマディビジョン」だったか。3rdも三すくみ決勝バトルになったりして