劇場版おっさんずラブ感想 言葉では届かない物

今日、仕事が偶然休みだったので『劇場版おっさんずラブLOVE or DEAD』を観てきました。

 

 

私は『おっさんずラブ』とても好きで、ドラマの放映時は毎週観るのを楽しみに生きていました。放映後にネットでみなさんの感想読んで、わかるわかるって毎週うなずいてた。楽しかったな。けど結局グッズとかDVDとか買ってなくて、映画化も知ったものの特に情報を追いかけなかったので、けっこう久々におっさんずラブワールドに触れました。

 

そんな感じの距離感の人間が書いてます。

ネタバレあり。

 

 

 

林遣都について

 

おっさんずラブのヒットって、俳優と配役が絶妙にマッチしたところもポイントではないでしょうか。田中圭の『春田』が全身全力で自由に喜怒哀楽を出す感じ、吉田鋼太郎こと『黒澤部長』のダンディと哀愁と大人の可愛らしさのブレンド、眞島『武川』秀和のねっとりとしたたたずまい、そして林遣都の『牧』。

 

思えば林遣都をはじめて観たのも映画館でした。それも本編ではなく映画の予告編、『バッテリー』です。

そのあまりの美少年っぷりに映画館で腰を抜かしました。彼の、発光しているようなのに陰があるように見える、なんともいえず深刻な表情と姿に熊木杏里さんの名曲『春の風』との相乗効果も満点で、何の映画を観たのかは忘れたんですがバッテリーの予告編が最高だったことはいまも胸に刻まれています。

 

その美少年がまだ俳優を続けており、大人気作品のヒロイン(by黒澤部長)となってまた映画館でまた会えるなんて!

林遣都、君はやったよ!すごいぜ!!ブラボー!!!

 

と、もうこの映画の感想はこれだけでいい気もする。

 

 

 

優しくクリーンな世界

 

冒頭、香港で春田が街中を走り回るんですが、その下りがちょっと、あれ?っていう感じで。

香港のけっこう猥雑な画面をスーツ姿で走る春田の存在がどうもから回って浮いてるように見えたんです。はるたんってこんなだっけ?あれ?このままいったら114分やばいぞ、って。

 

しかし帰国して東京の街並みに入ったら徐々に違和感がなくなっていきました。

やっぱり『おっさんずラブ』ってスーツの似合う美形たちが東京の広い風景のなかでコミカルに、時にシリアスに描かれていてこその物語で、男性同士になってるけれどトレンディドラマの末裔だと思う。

 

で、もう終盤になると人々がどんどんくっついていきます。

春田と牧、鉄平とマイマイ、薫子とジャス、部長と武川もたぶん。あと、マロと蝶子。

 

 

 

マロと蝶子

 

二人の屋形船のシーンがこの映画で一番いいな、と思いました。

マロにプロポーズされそうになる蝶子が『駄目』と拒否する場面です。

うろ覚えですが、

『いくつ年が離れてると思ってるの。結婚はもうしない。もうあんな思い二度としたくないの』というような内容の言葉を蝶子が吐きます。

蝶子は以前、幸せだった結婚生活の中でいきなり黒澤部長に離婚をせまられました。理由は部長に他に好きな人(春田)ができたから。蝶子は離婚を受け入れたんですが、深く傷つきました。

 

マロは23歳、蝶子は50歳。

蝶子は再び傷つくには年を取り過ぎています。だからこその結婚拒否。

 

これむっちゃいいなー、と思ったんです。

結婚を目指し、とらわれる春田と牧に対して、もう結婚を拒否する蝶子と、マロ。

男同士が結婚してもいいのと同じように、男女だって結婚しなくて仲良くやっていってもいい。『おばさんず非ラブ』です。

 

という提言なのかなー、とわくわくしていたら最後の方で蝶子はマロのプロポーズを受けてました。ちょっとがっかり。

 

 

 

ワイシャツ

 

狸穴の着てるワイシャツものすごく可愛くないですか?黒のラインが入ったやつ。それにピシッとして高そう。

同じシーン牧のワイシャツはチェックで若者向けな感じ。

黒澤部長は白だったかな?でも狸穴みたいにあからさまにかっこよくない。

春田は白でクタッとしてて雑な感じがかわいい。

 

 

 

 

男性同士が結婚するということ

 

牧は庭のあるけっこういいお家の子で、本社勤務のエリート。ママンも美人。

春田は普通の家にさばけた母親で現場の仕事。

花火大会で浴衣を着ていく牧、マロ、ジャスに対して春田は甚平にサンダル。

 

牧と春田は育ちに少し差がある模様で、おそらく牧のほうが上です。これが春田が女性だったら上方婚だな、玉の輿だな、って感じでやっていけると思うんですが(牧ママもキツい人じゃないし)男性同士だとどうなるのでしょうか。

 

また、二人とも同じ職場で働くものの、牧はエリートコース、春田は平社員。これはけっこう辛かったようで、春田が仕事に夢中な牧に嫉妬して二人は喧嘩して一度別れます。仕事へのスタンスの違いって、男女ならなんとなく受け流せる事例なんだけどね・・・

 

あと胸がぎゅっとなったのは、春田が『俺子ども好きだし』みたいなことを言った時・・・男性と結婚したら実質子どもを諦めなければならない、ってことに春田が気づいてしまっている・・・

 

という風に、ほんとに男性同士で結婚すると何が起こるのか、を要所要所にはさんでおり、視聴者が春田と一緒に壁にぶつかり考えていく物語でもありました。

 

あと、ラストにお互いは名前で呼び合うんですね。「創一」「凌太」って。

そう、日本で同性婚が法整備されたなら、結婚したら二人は同じ姓になる可能性だってあるんじゃない?

二人とも「春田」もしくは「牧」になるかもしれないですよ。だってほとんどの男女は結婚したら同姓になるんですもん。

だから今のうちに名前で呼び合って慣れたほうがいいってのはある。

 

 

 

まとめ

 

この映画、ものすごくいろんなことが起こるので、人によって注目ポイントが違うだろうなー、と思います。小ネタが多くて忘れてしまうので次観るときはメモを取りながら観たい。

そういえばドラマでは牧から好きになられて追われる側だった春田が、映画では牧を追う側になってます。牧のほうが恋愛より仕事モードになっちゃって春田のほうを向いてない。そういう恋愛の中にある微妙な立場の入れ替わりもなんかリアル。

 

あと舞台が『天空不動産』なので、さながら牧(春田?)は『天空の花嫁』かな~とか思ってたら、同時期に『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が公開されていて、天空の花嫁対決だな、と熱くなりました。