ボーイミーツボーイからボーイミーツガールへ 山田一郎と碧棺合歓(少年マガジンエッジ ヒプノシスマイク -Before The Battle- The Dirty Dawg 感想)

 



今回のエッジ最新話(track13)は碧棺合歓が鯖の味噌煮とペスカトーレとパエリアをせっせと練習しているほのぼのとした場面から始まりました。料理を食べる前に手を合わせる行儀のいい左馬刻様の姿に全左馬刻様ファンも合掌したことでしょう。

(どうでもいい話ですが「鯖の味噌煮」は「ママのにおい」と韻を踏めることに気がついた。「パパのにおい」でもいいか。)

 

 

食事中の碧棺左馬刻が自分の将来的な身の危険を感じ、妹・碧棺合歓の身柄を山田一郎に託そうと思考するシーンがありました。

 

俺はこれからいつどうなるかわかんねえ・・・

仮に 仮にだ・・・俺に万が一のことがあった時は・・・奴になら合歓を任せられるかもな

 

合歓の気持ちはどうなのかはさて置いて、ここにきて山田一郎×碧棺合歓ルートの可能性が公式に示されたよ!

 


そうなんです
実は山田一郎と碧棺合歓がくっつくと物語としてはとても助かるのです。

 


一郎と合歓のカップルが誕生することで、

男/女

中王区の中/外

山田一郎/碧棺左馬刻

と、H歴で敵対してる事柄(性別・身分・個人のわだかまり)の対立が解消され世界が融和した、というハッピーエンドがわかりやすく目に見えるかたちで表現できる。
一郎と合歓にはさながらH歴のアダムとイヴ的な役割を期待されているのかもしれん。

 

 

特に山田一郎はこれまで「三兄弟の長男」として家族・血縁のために頑張って生きてきたところがあるから、兄弟と離れてただ一人の山田一郎という自己として他者(合歓)と向き合うというボーイミーツガールの物語になるのはさもありなん。

また、作中で「強くなりたい」と願う合歓に対し、一郎の好みのタイプは「けんかに負けない強い子 」。

ふたりはなにげに呼応しているのだ。

 

 

ヒプノシスマイクは山田一郎成長譚として収束するのかもしれない・・・

(ヒプマイってやっぱり「エヴァ」みたいだな)

 


ただ
ただですね、ヒプマイって


「男ならラップできるだろう?」で
「世界を面白くしようよ」で
「俺たちに裏切りはなしだ」で
「俺らが組めば一丁あがりっしょ」的な、いわばボーイミーツボーイの縁からすべてが始まっているんです。


そもそもが男社会のお話なんだよね。

 


さらに「物語」や「山田一郎」や「ヒプマイ」に恋愛を求めていない層は確実にいると思っているので、ボーイミーツボーイから始まった物語がボーイミーツガールで終わったら賛否両論あるだろうなぁ・・・
(というかむしろヒプマイというのはどちらかというと物語内に男女の愛だの恋だのをそれほど必要としないタイプの読み手をコアにして受け入れられてるんじゃないかという気がする。これは個人的な感触ですが)

 

 


ヒプマイが一郎と合歓のボーイミーツガールで終わるのは物語としてとても清く正しく美しい。

が、清く正しく美しいだけでは世界は面白くないという面もあって、着地点がどうなるのか非常に気になります。

 

 

あと、一郎と合歓って中王区の壁が壊れた将来的にふたりともラップするんだよね?だって一郎(男)は兄弟/左馬刻と外にラップしに行って、合歓(女)は家で待ってるんだったら結局事態は性別分担からなんにも変わってないことになってしまう。衢くんみたいにラップの才能がないなら仕方ないけれど、碧棺合歓副局長はラップスキルがあるもんな。

 

一郎と合歓がささいなけんかでお互いのマイクを取り出す、そんな未来なら見てみたい。

 

 

 

 

そして

ヒプノシスマイクという物語が終わって幾星霜


山田一郎は幼い我が子の右手を握り、子どもの手のもう片方、小さな左手の先には山田合歓がいる。

公園帰りにつたないサイファーをしながらゆっくり歩く3人の姿に伸びる長い影

 

 

・・・ひこうき・・・いもむし・・・いっしょに・・・さばのみそに・・・にちようび・・・・・・

 

 

 

 

 

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