【随時更新】ヒプマイARBの元ネタ・小ネタまとめ

 

ヒプ男ヒプ女のみなさん、みんな大好きヒプマイARB

ヒプノシスマイクのスマホゲーであるヒプマイARBでは、原案者さんじきじきに書き下ろされたイベントシナリオを月に2回も読むことができます。ある時は仮想空間でゲーム、ある時は入間銃兎と観音坂独歩の出会いの真相、ある時は闇鍋パーティー

ARBのシナリオを読むといわゆる「キャラクターの解像度が上がる」のだ。彩り豊かなヒプノシスライフのおともには欠かせない存在なので、とってもおすすめです。イベントを読むだけなら無課金でも大丈夫ですが、手間暇をかけたくないなら最初に数千円課金すれば楽勝。

 

さてそんなヒプマイARBスマホのゲームという小回りの利く媒体だからか、ヒプマイのメインであるドラマ&楽曲(年1回くらいで話が動く)よりもシナリオが軽く、ネタ成分が多く含まれています。古典のオマージュ、パロディ、引用etc。これがものすごく楽しくて毎回ニヤリとしてしまう。せっかくなので個人のわかる範囲で小ネタをまとめておこう!という話です。(ところでARBのシナリオにはメインシナリオとイベントシナリオがあるのですが、今回はイベントシナリオのみを対象にしています)

 

 

漫画ネタ

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金貸しが地下帝国を築き地下労働者を集めているのはおそらく『カイジ』の帝愛オマージュ


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「ウルトラスーパーデラックスギャンカス男」の元ネタは、『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』よりも藤子・F・不二雄の『ウルトラスーパーデラックスマン』かと思う。ウルトラスーパーデラックスギャンカス男(マン)と読んだならば、ばっちりつながるし


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「ソースの味って男のコだよな」は『孤独のグルメ』のセリフ


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これも『孤独のグルメ』より。「こういうのでいいんだよ、こういうので」


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こちらは『特攻の拓』です。「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった」

 

小説ネタ

ARBは小説ネタ・文学ネタがむちゃくちゃ多い。たぶん読書好きな方がいちまい噛んでるのだと思う。


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この二枚はセットで、どちらも山田三郎の作成したキャラクターの名前です。たぶん元ネタは「中禅寺秋彦」と「九十九十九」。どちらもメフィスト賞が生んだ探偵装置の名前。


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ソードアート・オンライン』かな?


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これは『ブギーポップは笑わない』で確定だろう


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クトゥルー雛人形ほんと笑う。ラヴクラフトの神話体系『クトゥルーの呼び声』からの引用です。


f:id:pyonkospica:20220308194507j:image「北へ往く隧道抜けて六花~積もり積もって銀世界~」というイベントタイトル。
隧道=トンネル
六花=雪
なのでまんま「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の言い換えであり川端康成の『雪国』オマージュ。


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サブタイトルの~誰が為に飴を練る~は、もちろんヘミングウェイ『誰が為に鐘は鳴る』のパロディ。


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階段から転げ落ちたら入れ替わった人格が元に戻るのは山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』です。『転校生』というタイトルで大林宣彦が映画化しましたね。


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イベントタイトル「なぜ、一郎に頼まなかったのか?」の元ネタは、おそらくアガサ・クリスティのミステリー小説『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』だろう

 

その他のネタf:id:pyonkospica:20220308200457j:image

物知りなフォロワー様が教えてくれたのですが、山田三郎が観音坂独歩にくれた今話題の小説『黝く落ちる空を見て、僕はただ悲しいふりをする』。これはおそらくBLANKEY JET CITYの楽曲『幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする』のオマージュ


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天国テミス獄の「テミス」とはWikipediaによると

ギリシア神話の法・掟の女神である

とのことです。弁護士の天国獄にぴったり


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「The Smashing Onions」にも元ネタがあった。

スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)は、アメリカのロックバンド。

90年代のオルタナティヴ・ロックを代表するバンドの一つ

こちらもWikipediaより引用しました。


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ここは「太陽にほえろ」の松田優作の名シーンのオマージュだと思います。

そういえば山田二郎三郎の『BB's City』は『Bad City』が明らかにベースにあるけど、『Bad City』は松田優作のドラマ「探偵物語」の主題歌でした。「東京に事務所を構え町の仲間と協力し依頼をこなす探偵」って設定も萬屋ヤマダっぽいです。山田家って松田優作がイメージにあるのかな…?


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モンハンだー


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夢野幻太郎がサイキックテニスで使った「二十八部衆」というのは仏教用語で、千手観音の眷属らしい。ということは二十八部衆を従える幻太郎は千手観音役なのかもしれない。千手観音は生きとし生けるものすべてを救いたい仏らしいので、幻太郎ってわりと慈悲の人だったりするのかも


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白膠木簓の部屋にある緑色の椅子はたぶんカリモク60のKチェア

 

山田兄弟の言い間違いまとめ
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二郎と三郎は他人の名前にもう少し関心を持った方がいいのでは

 

謎のコンテストたちまとめ

その1 ネクタイのコンテスト

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ネクタイの日、ネクタイ伊達男ナンバーワン!!!】

 

その2 雛人形のコンテスト
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【ホワイトデーだよ雛祭り!!ネオ雛人形コンテスト】

 

その3 飴作りコンテスト
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【ホワイトデー、飴ちゃんコンテスト】

 

理鶯のゲテモノ料理を食べた反応

まず、

・虫を食べた人

・虫以外の動物を食べた人

がいる。また、

・理鶯が調理した料理

・理鶯が手渡した虫を鍋にして食べた人

がいるから反応は参考程度でどうぞ


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もっともなことを言う山田三郎


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困る碧棺左馬刻


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入間銃兎にとっては悪魔の宴


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失神する夢野幻太郎


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大喜びの有栖川帝統


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神宮寺寂雷→禍々しい


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伊弉冉一二三→グロい虫に引く


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意外に高評価の観音坂独歩


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波羅夷空却はゲテモノを食べられるタイプ(これは夢の中の話なので実際は不明)


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サーベルタイガーには上機嫌な四十物十四、三葉虫の岩塩焼きには眉をひそめるのだった(これも夢の話)


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虫を前に無言の天国獄

 

 

ファンシーファンキーキャンディ

天谷奴零か佐藤という人物に化けるんだけど、なぜ佐藤なのかというと

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ホワイトデーにをつくる

→飴といえば砂糖

→砂糖だから佐藤

って連想ゲームの産物ぽい

 

ラッパーはトイレに行くのか?

アイドルはトイレに行かない…みたいな信仰をお持ちの方々がいらっしゃるかと思います。では、今をときめくH歴のラッパーはトイレに行くのだろうか?f:id:pyonkospica:20220629180939j:imagef:id:pyonkospica:20220629180952j:imagef:id:pyonkospica:20220629181004j:imagef:id:pyonkospica:20220709221517j:image
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行くようです。

ジローは子豚の名前なので置いておくとしても、ヒプマイARB、女性に向けたイケメンいっぱいコンテンツかと思いきやわりとしっかり排泄が描かれる世界なのでした。

 

 

くまなく探したらまだまだ面白い情報がある気がする。しっかり謎のタネが埋め込まれており、こういう宝探しというか元ネタ探しができるのもARBの魅力。今後も新しい小ネタがわかったら随時更新していきたい。拾いきれてないネタもたくさんあると思うので、何か情報をお持ちの方はぜひ教えて下さい@pyonkospica

 

おまけ

【個人的に好きなイベントベスト3】

3位 デンジャラス・ペンション

オチのスピード感が最高に好き。

2位 Salty Valentine

純粋にとてもいい話。子どもの三郎・十四と、大人の盧笙が織りなす優しい世界にほっこり。学校に馴染めない子どもと教師のチームでもある。

1位 邂逅相遇

これ、漫画版『のび太と鉄人兵団』とほぼ同じ構成のオチなんですよね。エモの極みです

 

ヒプマイARBイベント「邂逅相遇~ヴィンテージの代償~」感想



ARBのイベントについて感想を書くのが久々になってしまった

 

 

というわけでヒプマイARBの新イベント「邂逅相遇~ヴィンテージの代償~」です。

どういう話なのかというと、天国獄の大切なヴィンテージTシャツを破いてしまった波羅夷空却がイベントバイトをしてお金を稼ぐというお話。すると偶然山田一郎も同じバイトに駆り出されており、なんとイベントの司会者は白膠木簓だった…というわけなのだ。

いつも思うんだけど、ヒプマイってディビジョンについての物語であるから各キャラクターの居住地がバラバラなのだ。だから彼らの顔合わせの理由が毎回難しそうである。だけど白膠木簓の芸能人設定って、どこにでも無理なく顔を出せるから非常に自然だし便利そうだなぁ。

 

 

天国獄のバンドT
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天国獄は大学生時代は独り暮らしであるというのがコミカライズで判明しているので、実家住みのころというのは中学生とか高校生時代か。そんなころからコツコツバンドTを集めていた天国獄愛しすぎるだろう。The Smashing Onionsは何か元ネタがあるんだろうなぁ…知ってる方ぜひ教えて下さい

 

ネオ雛人形コンテスト
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一郎・空却・簓が集まったのは「ホワイトデーだよ雛祭り!!ネオ雛人形コンテスト」というイベントです。自作雛人形のコンテストなんだけど、優勝がクトゥルー雛人形で大爆笑してしまった。そんな禍々しいものを雛人形にするな!!ヒプマイ(≒百瀬祐一郎さん?)がたまに見せるこういう文学センスほんとに大好き

 

三人官男
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三人官女をそのまま三人官男にひっくり返すというの、むちゃくちゃヒプマイぽいなーという感じ。そういやヒプノシスマイク、初期は性別をテーマにしたストーリーで出てきた面もあるからか、当初はけっこうフェミニズム的な議論のタネになっていたな…というのを思いだした

 

山田一郎の先輩の会社
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どうでもいいけれど、山田一郎の先輩が働くイベント会社

・本番が明日明後日の段階でスタッフ不足が判明する

・ナゴヤまで来てもらった一郎の宿の手配を手違いでミスる

・イベントの目玉役の演者に手違いで間違ったスケジュールを伝えた(そして来なかった)

って、だいぶ呪われてるからどうにかしたほうがいいと思う。

 

波羅夷灼空最強伝説
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ここ完全に『らんま1/2』でほっこり

 

あじゃぱー
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あじゃぱーとは何か。伴淳三郎さんという役者さんが1951年に発したセリフで、当時の流行ギャグになったとか。そういやエヴァ真希波・マリ・イラストリアスも言ってたなぁ。簓の古典リスペクトを感じる一幕

 

一郎・簓・空却
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ひったくりを撃退してのひとこと。ここすごく3人の性格が出てるなーと思って興味深かった。

主観ベースで判断の早い一郎

未来のことを考える空却

まわりのことを考える簓

って感じ。特に簓はこっそり親の顔色をうかがいながら生きてきた、アダルトチルドレンな生い立ちを知ってるだけになんか切なくなってしまったよ。

白膠木簓のアダルトチルドレンぽさってこっちの深読みしすぎかなー、考えすぎかなーと思ってたんだけど、少年マガジンエッジで鴉月ルイさんの描くコミカライズの最新話、track11で

……ああ

こんな緊迫した状態やと悪い癖が……

と、“場の緊張が高まるのが苦手で、ギャグを言って雰囲気を緩和させたくなる”という描写があったので、やっぱりそういう傾向があると解釈していいんだと思う。f:id:pyonkospica:20220302193324j:image

空却と父が取っ組み合ってる姿を見て、仲良くていいと感想を言う簓…

なんというか簓には幸せになってほしい。

 

 


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さて、イベントも無事終わり、じゃあ天国獄のTシャツはどうなったんだということです。ここ数年市場に出てこない、20万円する貴重なヴィンテージを波羅夷空却は無事に弁償できたのでしょうか?

 

 

この物語、オチが漫画版『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』のラストシーンとほぼ一致している、とだけ書いておきます。つまりもんのすごくエモで涙出てくる。ARB史上1、2を争う綺麗なお話だったのではないだろうか。

 

なんだか懐かしくなり指が自然にアマゾンのサイトを滑っていく。

 

そして

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こうなる。

波羅夷空却が天国獄のヴィンテージTシャツを破いたら我が家に大長編ドラえもんが揃ったのであった。

 

 

『Double Trouble』と『タイガー&ドラゴン』

 

 

・左馬刻と簓の楽曲『Double Trouble』

クレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』
・ドラマ『タイガー&ドラゴン』

について勝手に思っていることを一度まとめておきたい。

 

まず『Double Trouble』です。これはコミカライズの特典曲でした。

 

歌うのは碧棺左馬刻と白膠木簓。目を引くのはその歌詞で、

俺の話を聞け 5分と言わずAll day

という部分、これはクレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』の

俺の話を聞け 5分だけでもいい

という部分があきらかに元ネタだろうと思われます。そういえば曲調も、ジャジーなピアノが効いておりとても似ている。

 

さて、曲の元ネタが『タイガー&ドラゴン』ならば、タイガーとドラゴンとは何なのか。誰かがタイガーで誰かがドラゴンなのか?じゃあ左馬刻と簓のどちらかがタイガーで、どちらかがドラゴンなのか?…というのが次に気になるところ。

しかし、この楽曲『タイガー&ドラゴン』は宮藤官九郎のドラマ『タイガー&ドラゴン』の主題歌らしい。

ということはドラマを見通さないとこの問いに答えは出ない。

というわけでドラマ『タイガー&ドラゴン』を視聴することになる。宮藤官九郎脚本は約束されたクオリティで、16年前、2005年のドラマだという年月はそんなに感じませんでした。

 

タイガーは劇中では虎児という名です。虎児は12歳の時に両親が一気に亡くなり、そこから笑うことを一切忘れました。そんな虎児がある時に落語を観て笑いを取り戻し、ヤクザからだんだん落語家になっていく。(長瀬智也さんが演じました)

一方のドラゴンは竜二。竜二は落語家の家に生まれ将来を嘱望された天才的落語家だったんだけど、今は落語家をやめてしまい、まったく別の仕事をしている。少し情けなく、虎児に比べると普通の青年。(岡田准一さんの役でした)

 

うーん、ヤクザなタイガーは左馬刻でいいんだろう。だけどドラゴンが簓かというとなんか違うのだ。簓の育ちやカリスマ性とメンタリティは竜二というより虎児の側に思えてならない。
…というか、左馬刻も簓も機能不全家族の元で育った傷ついた子どもなので、よく考えたらこの二人はもともとちょっと似ている。

ひょっとしたら左馬刻と簓は

『Double Trouble』で

「ダブル」「トラ」ブルだから

タイガー&タイガーなのかもしれない。

ちょうど簓はMC「トラ」ジックコメディでもあるし…などともやもや考えたり。

じゃあドラゴンはどこにいった?と思いながらドラマを観ていたら、竜二の過去が明らかになるにつれてドラゴンの輪郭が明らかになってくる。
竜二が落語家をやめたのは、板の上でおきた、ある辛い出来事がきっかけだったのだ。竜二は舞台で失敗をした。出てこないネタ、もつれる言葉、冷たい客席、静まり返る空間…

 

ああ、これと同じ景色を我々ヒプ男ヒプ女は見たことがある。躑躅森盧笙だ。

(比較的)幸せな家庭で育ち、「笑い」を楽しんでいたけれど途中で舞台をあきらめた竜二と盧笙。二人の姿がぼんやり重なって見える。
なるほど、左馬刻と簓と盧笙でタイガー&ドラゴンなのかもしれないなぁ。ためしに竜二を“天才芸人”と“挫折した元芸人”に分割して別々の人物にしたならばそのまま簓と盧笙のキャラクターの元ネタ要素になりそう。というか、左馬刻の暴力性とコメディアン適性はわりとガチで長瀬智也演じる虎児が元ネタの1人のような気がする。

ヒプノシスマイク、メフィスト系小説だけでなくいろんな作品が意識的にか無意識的にかわからないけれどサンプリングされていて、それが複雑な味わいになって面白い。最近元ネタ探しにはまっている。

しかし、ヒプマイを追ったおかげでドラマ『タイガー&ドラゴン』だとか西尾維新佐藤友哉みたいな「存在は知っていたけど触れたことはなかった作品」を摂取するきっかけができてとてもありがたい…


もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話 - pyonkospicaの日記


サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ - pyonkospicaの日記

 

 

 

ところで『タイガー&ドラゴン』の物語のラスト、竜二は決意し再び落語家として板の上に上がることとなるんだよね。白膠木簓と躑躅森盧笙がどついたれ本舗として再びマイクを手に取ったようにさ。

 

ヒプマイのまめころりんを買ったのでレビュー&サンリオコラボ感想

 

 

ヒプノシスマイク SANRIO NAKAYOKU EDIT まめころりん』が届きましたやったー

 

予約したのが2021年8月、発売が2022年1月。実は普通に店頭で買った方が予約配送より数日早く手に入ったらしくて震えた

サイズ感比較。一番手前がまめころりん

まめだけにとってもちっちゃい
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握りしめたくなる


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日によって濃淡あるけれど箱推しなので全種買いです(1つ858円、全員で15444円なので一瞬迷った)

むちゃくちゃかわいい…

 


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後ろからみると尻尾だらけでどうぶつ感がすごい。理鶯のペンギン感がかわいい

 


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イケブクロ

二郎のブルゾンやチェックのシャツがパステルカラーな水色で珍しく、きゅんとする

 


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ヨコハマ

左馬刻様と銃兎がモノクロームにピンクの差し色でおしゃれ。理鶯のほっぺたもピンクでかわいい

 


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シブヤ

写真がへたで申し訳ないが実物は乱数がゆめかわでものすごくかわいい

 


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シンジュク

シンジュクは全員淡い色合いが統一感あって最高!ひふみと独歩の足に同じ布を使っているからシンメトリーな感じになりたまらん

 


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オオサカ

簓のサル感が楽しい。天谷奴零の虎柄パンツかわいい

 


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ゴヤ

空却のやんちゃな表情いいよね。十四くんが装飾過剰でにぎやかかわいい。たぶん天国獄さんの両親は、息子がリーゼントにした時点でアッとなり、医学部に行かなくなった時点でウッとなり、弁護士になった時点でおおっとなり、未成年とチーム組んだ時点で親御さんと食事会を開き、サンリオコラボで猫耳になった35歳の息子にどう声をかけるか悩んだりして情緒が大変そうである

 


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足がヒレの人々は人外感がマシマシでどきどきする。ケロケロけろっぴ有栖川帝統のしましまピンクズボンと鮮やかな緑色コートの取り合わせいいな

 


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肉球があるのは二郎と十四くんと乱数。

凝ってますねぇ

 


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一人だけ裸足の人類がいて、それは天谷奴零。さらに一人だけ履物をはいてるのは夢野幻太郎。天谷奴と幻太郎って、この組み合わせ謎の強キャラ感あって面白い

 


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贈答用詰め合わせ

 

まめころりんはチェーンがついているからキーホルダーにできる仕様ですがもったいなくて実用できなさそう…もし自分が中学生だったらこっそり見えないように登校カバンにつけていっただろうな。

ふだん言うほどグッズは買わないんだけど今回のサンリオコラボは刺さりすぎていろいろ買ってしまった

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メタルキーホルダー好きすぎて箱買いf:id:pyonkospica:20220205121034j:image

自転車の鍵につける。猫耳天国獄はまめころりんより平面のほうが好きかも


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ワイヤーキーホルダーは実物がキレイで衝動買い(また猫耳天国獄グッズ買ってる…)

 

2000円買ったら1枚もらえるカードが少なくとも13枚存在していたけど部屋をくまなく探せばもっとある気がする

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山田一郎(2) 山田三郎

碧棺左馬刻 入間銃兎

飴村乱数 有栖川帝統

神宮寺寂雷 伊弉冉一二三

白膠木簓

四十物十四 天国獄(2)

被りのあるまばらな揃い具合に、凡人の人生とはこんなものだという教えを勝手に読み取る。あらゆるものに意味を求める性分は自分でもどうかと思う

 

 

サンリオコラボグッズはヒプマイがコラボしたいろいろなグッズの中で最高峰の可愛さと細やかさじゃないかしら。すごく丁寧に18人を自社キャラにあてはめて描いていて、さすがキティちゃんの本丸だと感じました。キキララが一番好きなので今回いなかったのが残念…

最近はヒップスターというファンクラブがいろいろグッズを出していて、それもクールなデザインで素敵です。個人的には仕事中に使えるグッズがほしいのでいつかシンプルなボールペンを出してほしい

ところで天谷奴零はゴロピカドンとのコラボなので18人中唯一の人間型なんでした。どうぶつだらけの中に思わせぶりな異物感があって妄想が膨らみますね…

 

 

サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ

 

ヒプノシスマイクARBというゲームがあり、ヒプノシスマイク大好き者として毎日楽しくプレイしているのですが、先日衝撃的な出来事がありました。


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あっと思った方もいるんじゃないでしょうか。

「九十九」に「中禅寺」…これはおそらく元ネタが「九十九十九」と「中禅寺秋彦」。共通点はどちらも雑誌『メフィスト』から生まれた文学賞である「メフィスト賞」を受賞した作品に登場する登場人物の名前なのです。


もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話 - pyonkospicaの日記

当時、あまりの驚きでこちらの記事を書いたんですが、つまりヒプマイってかなりがっつり『メフィスト』系なのかもしれないのだ。

 

そうしたら親切な方が指摘してくださいました。

碧棺左馬刻邪答院もおそらくメフィスト系作品から由来した名前であると…!

 

というわけで読書した。

 

結論から言うと碧棺左馬刻(あおひつぎさまとき)の元ネタ?は西尾維新『ぼくと君の壊れた世界』の櫃内様刻(ひつうちさまとき)であり、邪答院(けいとういん)はたぶん祁答院(けとういん)。祁答院は佐藤友哉フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』等に登場する人物です。

 

つまり

九十九三郎→清涼院流水/舞城王太郎より

中禅寺三郎→京極夏彦より

碧棺左馬刻→西尾維新より

邪答院→佐藤友哉より

舞城華灯→舞城王太郎より

というのが各々の由来となり、この6名の作家は全員メフィスト賞を受賞している(厳密に言うと京極夏彦は違うが、メフィスト賞が生まれたのは京極夏彦の存在あってこそなので含めていいはず)のです。ヒプマイの中の人、『メフィスト』好きすぎる説。

そうそう、ヒプノシスマイクには劇中劇としてカガミキヨシという探偵も登場したんですが、これも佐藤友哉鏡家サーガからやってきているのかもしれない。

 

メフィストかぁ、なるほど。どうりでギャグのような文学のような韜晦のような中二病のような暴力のような懐かしい世界観が心にすっと入ってくるわけだよヒプノシスマイク…と納得したんですが、櫃内様刻の出てくる『きみと僕の壊れた世界』、祁答院の源『フリッカー式』を読んでいると、またもや衝撃的なことが起こりました。

 

いい作者にはいい翻訳者がつく、サリンジャーがいい例だ。

『きみと僕の壊れた世界』より

 

公彦、サリンジャーを知らないのか?

サリンジャーだよ

全く…その年でサリンジャーも未読とは嘆かわしいね。

フリッカー式』より

 

サリンジャーがむちゃくちゃ出てくるのだ。

サリンジャーとは小説『ライ麦畑でつかまえて』、村上春樹訳なら『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の作者です。

たまたま読んだ別々の本に二連続でサリンジャーの名前が出てくるなんてことある!?

 

 

いえ、実は二連続ではないのです。

ヒプノシスマイクの原案者、百瀬裕一郎さんの小説『オール・ジョブ・ザ・ワールド』の主人公の名前はホールデン、その妹はフィービーであり、明らかにサリンジャーの小説『ライ麦畑でつかまえて』から引用されているのです。

もっといえば『きみと僕の壊れた世界』『フリッカー式』『オール・ジョブ・ザ・ワールド』これすべてひとことで言うと、妹のためにむちゃくちゃがんばるお兄ちゃんの話なんだわ。というわけでサリンジャー三連単。まるで魂の三つ子のよう。

 

百瀬裕一郎さんとライ麦畑でつかまえてについても以前ねっとりと書いたことがあるのでよかったらどうぞ


オール・ジョブ・ザ・ワールド 感想 - pyonkospicaの日記

 

そういえば佐藤友哉氏はかなりサリンジャーがお好きなのか同名の本も出しておられます。佐藤友哉版ナイン・ストーリーズはおもしろくて切ない。

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なんでしょう、このある種のメフィスト賞(+ヒプノシスマイク)とサリンジャーの親和性は。私も『オール・ジョブ・ザ・ワールド』を読んだ際にこれ“ライ麦畑”だと直観し『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んだんですが、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、なんと正直まったく刺さらなかったのでびっくりしました。もしかしたら私が15歳の不安定な少年だったらホールデンの言動がビシビシと伝わったのかもしれない。せめて15歳の不安定な少女だった時に読めばもっとクリアにキャッチできたのだろうか…?

(いっぽう短編集『ナイン・ストーリーズ』(サリンジャー版)は、よくわからない話もあるがむちゃくちゃ心を掴まれる作品もあり久々に感動した。こちらは昔読んだことがあったけど一話目の『バナナフィッシュにうってつけの日』がピンとこず当時はその先を読まなかったが、今回『バナナフィッシュ日和』を読んでもやっぱりピンとこなかった。しかし『笑い男』が最高にすばらしくてのたうち回った。)

 

そもそも『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は図太く社会の荒波にもまれた2020年代の大人の女が読んで深く感じ入るものではないのかもしれないぞ…という結論に至りそうになるが、いやいや、年齢だとか性別だとかは関係なく、単にこちらにホールデン的な素質がなかったんだろう。

 

さて

西尾維新氏は1981年うまれ

佐藤友哉氏は1980年うまれ

百瀬裕一郎氏は生年がよくわからないんですが、今はなき百瀬さんのTwitterで“『YAT安心!世界旅行』というアニメを見て考察していた”という文言を見たことがあります。1996-1998放映だそうなので1983年前後の生まれじゃないかなぁと勝手に想像しています。

みなさんまさにアラフォーなわけで、

1.なぜ日本のある種のアラフォー世代の男性はサリンジャーを好み、引用するのか

2.なぜある種の男性は「妹」を無条件に信頼し、信仰する類の物語を書くのか

という新たな謎が生まれたわけですが、なんとなく社会学の方なんかがもう論文を書いていたり、誰かが鋭い考察をしている気もします。時間があったら探してみたい。

 

2019年からヒプマイを追って3-4年ですが、ここにきて『メフィスト』要素に気づかされるとは本当に驚きました。やっぱりヒプマイって楽C。

 

 

もしかすると山田兄弟の名前の由来って舞城王太郎なのではという話

 

ヒプマイARB新イベント「The KING of TENNIS 前編~超極限・サイキックテニス~」を読んでいたらとても懐かしい名前が出てきましたf:id:pyonkospica:20220111195503j:image

山田三郎が九十九三郎という名前でゲームをプレイしていたのです。ARBをプレイしているミステリ好き、読書好きの方はおそらく一斉に悲鳴をあげたのではないでしょうか。

 

九十九十九か…!

 

九十九十九とは何か。(四十物十四みたいだな)

九十九十九とは清涼院流水の生み出した探偵の名前です。でも、なぜここで「これは九十九十九由来だな」と我々が確信するのかというと、山田三郎には前科があるのです。

それはこちら

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中禅寺(秋彦)…!

山田三郎は中禅寺という名前も使用したことがあり、「中禅寺」「九十九」ときたらこれは両方ともメフィスト賞受賞作品の主役級登場人物で、役割としては「探偵」の名前なのです。(中禅寺秋彦の肩書きは探偵じゃないけれど装置的には探偵でいいはず)

メフィスト賞講談社が発行する文芸雑誌『メフィスト』から生まれた公募文学新人賞。未発表の小説を対象とし、『究極のエンターテインメント』『面白ければ何でもあり』という特徴がある、ようだ。

 

中禅寺秋彦
→『姑獲鳥の夏京極夏彦(第0回)


九十九十九
→『コズミック』清涼院流水(第2回受賞)

と、山田三郎の好きなかっこいい名前はどうやらメフィスト賞作家の探偵から借りている。

ということは、おそらく山田三郎はハサミ男(第16回受賞作)も読んでるし六枚のとんかつ(第3回)も読んでる。六枚のとんかつを読みながらこれ占星術殺人事件とどう違うんだと真顔でツッコんでいる。森博嗣(第1回)も読んでるし西尾維新(第23回)も佐藤友哉(第21回)も読んでる。山田三郎の中二病的センス(他にどう形容したらわからないのでごめんなさい)なら、メフィスト賞を好むのもなんかわかる。

 

メフィスト賞作品はたいてい講談社ノベルスから発売されるので(今もそうなのかな)、山田三郎の本棚には講談社ノベルスのぶっとい本がたくさん並んでるのかも。山田一郎はラノベを読むのが好きだし、ベクトルは違っても山田兄弟は読書が好きみたいです。

 

さて、九十九十九という探偵を生んだのは清涼院流水なんだけど、清涼院流水トリビュート作品として舞城王太郎も探偵九十九十九を元にした作品『九十九十九』を書いています。なので山田三郎の「九十九」は清涼院流水舞城王太郎のどちらを借りたのかほんとのところよくわからない。

 

舞城王太郎ももちろんメフィスト賞受賞者で、第19回『煙か土か食い物』にてデビューしています。(ほんとに最高に面白く疾走感にあふれ、文学的味わいのある作品なのでぜひ読んでほしい。斎藤壮馬さんも好きな小説にあげているそうです。余談ですが斎藤壮馬さんは『猫のゆりかご』も好きらしく、一度会えたらぜひ本の話をしてみたい)

そしてヒプマイも舞城王太郎も大好きなのに今の今まで気づかなかったんだけど、『煙か土か食い物』の主人公、奈津川家の人たちって四兄弟で、

奈津川一郎

奈津川二郎

奈津川三郎

奈津川四郎

っていうんでした。あれ、ひょっとして山田兄弟の名前(山田一郎二郎三郎)ってここから来たのかも???ちなみに奈津川家は背が高いという特徴があり全員身長が180cmを越えているというのも山田家と似ている。山田三郎は173cmだけど、まだ齢14なので伸びるだろうし。

 

 

そんな奈津川家は数々の問題に悩まされるのですが、その中心にいるのは奈津川四兄弟の父、不器用にしか子どもたちと関われなかった奈津川丸雄です。Wikipedia奈津川丸男の項には

頬に三日月の傷があり、他にも全身に無数の傷跡を持つ。

と書かれており少し天谷奴零を彷彿とさせる。

天谷奴零(AMAYADO)のアナグラムは山田零になることは有名ですが、『煙か土か食い物』も、ラストにあっと驚くアナグラムにてある人物の正体が明らかになるのでご一読下さい。ちなみに奈津川四兄弟の母陽子は

連続主婦殴打生き埋め事件の被害者となり、眠り続けている。

となっていますが、そういえば、いまだにちらっとしか話が出てこない山田家のお母さんってどうなっているんでしょうね…

【追記】山田家のお母さんも昏睡状態にあることが2023年に判明しました

 

 

というわけで山田家と奈津川家の共通点は

・一郎二郎三郎という名前

・180cm越えの身長

・傷だらけの父と間違った愛

・眠り続ける母

となります。

 

そういえば夢野幻太郎と有栖川帝統のコミカライズシナリオ『奇術館の殺人』に出てきた探偵はカガミキヨシという名前でしたが、メフィスト賞鏡公彦というキャラクターも生んだんだった(『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』第21回受賞佐藤友哉)。ヒプノシスマイク、そこかしこにメフィストの気配がするなあ…

 

【追記その2】

久しぶりに『塗仏の宴 宴の始末』(京極夏彦)を再読していたら「芦笙(ろしょう)」という楽器が出てきて、しかも物語中でわりと大事な役割を果たしていたから驚いた。オオサカディビジョン躑躅森盧笙こと盧笙の名前も京極夏彦リスペクトだったりして…?

 

【追記その3】

このブログを書いてしばらくした後に、飴村乱数に影響を与えたキーパーソンとして舞城華灯くんが登場しました。舞城華灯の由来が舞城王太郎なことは確定でいいと思われる。

 

 

ヒプマイとメフィストについてさらに関係を追った記事はこちら


サリンジャーから『メフィスト』へ、そして『ヒプノシスマイク』へ - pyonkospicaの日記

ヒプノシスマイク3DCGライブ感想 12/18インテックス大阪

 


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行ってきましたヒプマイ初の3DCG ライブ。

12月大阪と1月幕張で開催されますが今回行ったのは2021年12月18日 10:00、つまり最速公演です。

地元からライブ会場に近づくにつれ、どんどん電車内ヒプマイ濃度が上がっていくあの感じが最高に好き…!ライブに向かうヒプマイ好きの人たちを見るのが、ライブ本体と同じくらい好き。みなさん缶バッチとかバッグとかぬいぐるみやキーホルダーや服装をばっちりきめていて眼福です。

 

ところで大阪の地下鉄というのは日本でいちばんアングラ感のある鉄道ではないかと乗るたびに思う。古い、きたない、異臭の宝石箱であり、ライブに向かうヒプ女たちが阿波座の中央線に向かう長く暗く不案内な通路を歩きながら、絶対この道間違ってるってといって途中で引き返したのを見てしまった。正解なのに間違いの匂いがする空間それが大阪メトロ

 

セットリスト

1.ヒプノシスマイクDivision Rap Battle+
2.survival of the illest+
3.おはようイケブクロ
4. Re:start!!!
5. Yokohama Walker
6. シノギ
7. Shibuya Marble Texture
8. Stella
9.パピヨン
10.TOMOSHIBI
11.笑オオサカ
12.なにわ☆パラダイ酒
13. Bad Ass Temple Funky Sounds

14.R.I.P.
15. IKEBUKURO WEST GAME PARK
16. HUNTING CHARM
17. Black Journey
18. Shinjuku Style
19. あゝオオサカdreamin'night
20.開眼
21. Hoodstar+
22. SUMMIT OF DIVISIONS

えっ『Shinjuku Style』とか『あゝオオサカdreamin'night』やらないの…?と途中でドキドキしたがラストでやってくれた。

SS1から5が最前ブロック、私はSS6だったのでそこそこ前のほうなんだけど、この中途半端な近さが今回はよかったように思う。なぜなら、サイドモニターの画質がガビガビなのです。

サイドモニターは演者を拡大してくれるんだけど、CGなもんだから拡大すると正直作り物感が見えてしまう…のであまり見ない方がいいやつだった。世界観に没入するために序盤でサイドを見るのはやめました。だから中央の本物を眺めるんだけど、こちらは微妙に遠いため表情などの細かい部分は見えない。逆にいうとアラも目立たない。

最初30分くらいはいつもの声優さんのライブとの違いに頭がついていけなかったんだけど不思議なものでStellaくらいから目が慣れてきて、笑オオサカになった時には完全にキャラクターが「居るわ」というのがわかった。『おはようイケブクロ』でくるくる回る山田たちなど、キャラクターの動きは声優さん準拠だった気がするんだけどあんまり自信ないです。

 

個人的な見どころ

・『パピヨン』にて一二三がジャケットなしで登場し、女性の観客を見て怯えるという一幕がむちゃくちゃアツかった。観客、つまり私(たち)を見て悲鳴をあげる一二三を見ることで、我々の女性性とそれにともなう加害性に向き合わされるという、楽しいライブを見に来ただけなのになぜか針のように刺される体験であった。一二三ごめん。

しかしなんと一二三、寂雷と独歩のサポートにより途中までそのままジャケットなしで歌いきったからすごい。えっいらんのジャケット。たぶん来年は一二三の女性恐怖症に焦点があたり、恐怖症の解消も近そうだなぁという雰囲気。

さて、なぜ一二三がジャケットを持ってなかったというとそれは「観音坂独歩のせい」だったんだけど、この二人の一連のやりとりがすごくエモい雰囲気で震えたので是非いちど見てほしい。この寸劇を見た瞬間に、今回ライブに来てよかったと心から思った。そして前も書いたけれど一二三が女性恐怖症になったのもなんとなく独歩が一枚噛んでいるような気がする…

・山田三郎がすごい塩対応な時と優等生なコメントをするときがあり、二面性が出てきたなぁという印象だった。結構わかりやすくぶりっこするのがなんだか可愛くてほほえましい。最後の観客への挨拶の時もぶりっこサブローザだったけど無理しちゃって…とにやついてしまった。

・乱数の声優さんがすごく背が高いのに対し、本物?の飴村乱数はメンバーでいちばん小柄(155cm)である。小さな乱数がStellaやBJを歌うと曲の悲壮感がより引き立つなぁと新たな発見だった。

・乱数と簓がチャカチャカした動きで賑やか。理鶯も腰を落として視線を低くするモーションが多くて面白い。

ベスト姿で肩を張り背筋をのばし鷹揚にツッコミを入れ続ける躑躅森盧笙のたたずまいがオードリーの春日にそっくりでずっと見てしまう。盧笙はなにわパラダイス酒でぐでんぐでんに酔っぱらう姿も無茶苦茶かわいくて地味に今回のMVPだと思った。

天谷奴零も動きがゆったり大きくて威厳があって良かったなぁ。意外に、十四くんの存在感が自然で本当に居そうだった。

天国獄がバイクをふかす真似をしたのが(たぶんGODと同じ動き)面白かわいくてちょっと笑う。

・演出の話をすると、スピーカーのさらに上のレイヤーで数人が重なって移動するのがほんとに自然で、実在感がすごい。どういう技術なんだろう?また、レーザービームや火柱というヒプマイライブでお馴染みの演出も盛りだくさん。生演奏でコントラバス弾いてたの最高に格好よかった。

・銃兎や一二三のスーツに比べて独歩のスーツが安そうな雰囲気が出ていて、なんかいい…というか独歩は全般的にしょぼくれていてとってもよかった(ほめ言葉です)

 

幕間

ディビジョンごとにもちょっとした掛け合いがあって楽しいんだけど、なんと番手ごとにも集合会話がある。

一番手

→乱数が観客にマナーを教えると言い出し、観客はぴょんぴょんぴょーんなどのポーズをやらされる。それを見た左馬刻がつっこみ、簓が駄洒落をいい(調子と緊張しいひんをかけた駄洒落)、寂雷がそこに医学的根拠を求めて食いつく…というやりとり。一番手は基本的に全員やりたい放題でツッコミ不在なので話の流れがえらいことになるということがよくわかった。

 

二番手

→幻太郎無双です。DJの一族の末裔だから皿を回したくて仕方ないと自己紹介したり、二番手はトンチキな面子だとのたまう幻太郎、幻太郎の冗談を信じてひとりで息を180秒止める盧笙、十四に訳わからないことを言うなと凄む二郎…など。DJ一族のくだりがものすごく面白くて笑ってしまったけど会場はまったくそんな雰囲気ではなかった。

 

三番手

→僕と軍人以外は疲れてるんじゃない?などと指摘する山田三郎。どうでもいいが理鶯は観客のことをお前たちと呼ぶのでちょっとしょんぼりした。はやく一人前のソルジャーとして認めてもらい、貴殿らと呼ばれたい。

 

などなど全体的にとっても盛りだくさんでした。細かいところを見たいので明日のチケットも買おうか一瞬悩んだんだけど、家からだとコスモスクエアまでの道程に乗り換えが無茶苦茶多いのでこらえました。とにかく数千人のヒプマイファンと過ごすあの時間が楽しくて、3DCGを観ながらも結局現実の善男善女とマイクを光らせるという謎の祭りの一体感が最高にいい。

 

なぜ普段いがみあっている彼らが協力して今回ライブをしたのかがいまだによく判らないけれど、いつものライブのような“推しディビの存在証明を示すぜ”という感じではない。だからか、自由にディビジョンの色を変化させるクラップマイクというものが配られた。これを使い『おはようイケブクロ』の時は全員赤のライトを振り、『開眼』の時は全員紫のライトを振る、というシステム。こっそり周りを見ていたが、見る限り全員がきちんと適した色に適宜切り替えていて、よほどの信仰心がなければ推しディビカラーのままライブを貫くのは不可能な空気であった。ヒプノシスマイク公式はファンをゆるい箱推しに誘導したいのかもしれない。

さてインテックス大阪のキャパは1万人、今回は50%制限として5000人。チケットが平均1万円としたら1回のライブで売り上げは5000万円。しかし彼らは今回非実在青少年なので1日3回のライブを2日間行えます。なので大阪だけで総売り上げは3億円!!!なかなか経済が回る感がする。どうかこのお金でヒプマイも末永く活躍してほしい。

 

ずっと思ってたんだけどヒプマイってキャラクターに確固とした実体がなくて、楽曲を暫定的な中心として声優さんやコミカライズや舞台が楽曲のまわりをぐるぐると回っているように思っている。そのぐるぐる回るイメージの重なりでぼんやりと造られているキャラクターの輪郭をファンは感知しているというか。(大げさにいうと「神」なんかもそういうシステムじゃないか?)

それが今回、キャラクターが実体を持って歌い出したからさあ大変。神は死んだどころか、神降臨ですよ。この3Dライブというものは、後から振り返るとなんかすごい意味のある転換点になるような気がする。ライブ前日に「各キャラクターの筆跡が公開された」というのもキャラクター実存主義の方向性に一歩進んだのではないだろうか。まぁ考えすぎかもしれないけれど。