そのセカンドバトルが先日開催され、優勝したのはシブヤ代表Fling Posseでした。
さて、今回シブヤが優勝したらすごいことがおきた。
何がおきたかというと、フリングポッセが工場のオーナーになったのだ。
これまで、名前も来歴も何もかも秘密と嘘で彩られた根無し草のようなフリングポッセ。そんな彼らに「工場」という確固たる居場所と、「オーナー」という立場ができたのだ。会社の名前も変わるそうだ。Fling Posse Inc.と名付けられるらしい。
これはすごい。
何がそんなにすごいのかというと、彼らの関係に名前が与えられ整備されてしまったのである。乱数はちゃんとゴダイさんに契約書を準備するように言った。つまり飴村乱数・夢野幻太郎・有栖川帝統は工場の持ち主という法的な関係になるのだ。
いつか中王区によるラップバトルが終わりフリングポッセが解散したとしても、彼らの関係は終わらない。なぜなら法律が「彼らは関係がある」と保証しているから。
その関係はいつまでも終わらない、
何十年も先の未来へと続く最強の絆なのだ。
いやぁシブヤはえらいものを手に入れたものだ。ラップバトルの優勝というのがキャラクターと物語にこんなにものすごい祝福を与えるのだということが解ってしまったら、第3回バトルはえらいことになるんじゃなかろうか。
あまりによくできた流れすぎて、幸せに臆病なオタクとしてはひょっとしてフリングポッセの物語、飴村乱数と夢野幻太郎と有栖川帝統の冒険はここで終わるのかもしれないと思ってしまった。
乱数と幻太郎と帝統はおじいちゃんになっても工場に通い仲良く遊びましためでたしめでたし…というわけである。
じゃあ乱数の飴と命はどうなるのか?という話には、「神宮寺寂雷がどうにかする」という一応のゴールらしきものが今回語られた。
幻太郎の兄には何が起こったのか?という話には手がかりが提示されている。
双子、鏡、病院、服をいじられると怒る幻太郎。
これらのピースを組み合わせればなんとなく見えてくるものがあって、数年前にブログで自分なりの答えを書いたけれどいろんな説はあるだろう
おれがあいつであいつがおれで 夢野幻太郎考察 - pyonkospicaの日記
夢野幻太郎という虚実のあわいに生きるキャラクターの、そのキャラクター性を守るために、あえてすべては語らず読者に真実を明かさないスタンスもあり得るのかなぁと思うのだ。
実はもう有栖川帝統にあまり謎はない。母との関係も語られている。なぜ有栖川の家を出たのか?という秘密が残っているが、本人が「賭場で生誕略歴は以上」と言っているのでそれ以前の過去は存在しないのかもしれない。
もちろん彼らの謎と真実が気にならないわけでは決してないし、むしろものすごーく気になる。
しかし長く残る伝説というのは、物語の頂点、一番幸せな部分で終わることも多かったりする。桃太郎しかり。シンデレラしかり。新世紀エヴァンゲリヲンしかり。
むかしむかし遙かな未来、シブヤに飴村乱数と夢野幻太郎と有栖川帝統がいました。3人はラップバトルで優勝し、そのお金で工場を買い取りました。乱数と幻太郎と帝統はおじいちゃんになっても工場に通い、末永く仲良く遊びましたとさ。
リズムの合間でまた逢う日まで、
めでたしめでたし
いやしかし、「刹那の友」だったフリングポッセが優勝したら「工場の共同オーナー」という法的拘束力のある関係になり、刹那どころではないガッチガチの絆になったのほんとにほんとによくできた話です。すごいわヒプマイ。