ヒプマイとパラライの違いについての一考察

 

まず私はヒプマイ大好きの民で、しかしパラライにもはまれたら楽しかろうと最近勉強しています。

そういうわけで先日発表されたパラライのアルバムを聴いたのですが、個人的にすごく興味深いなー、と感じたポイントがありました。

そしてその「とあるポイント」が、ヒプマイとパラライを決定的に分けているのではないかと思い今回の記事を書くに至りました

 

 

で、いきなりそのポイントは何かという話なんですが、それはお金に対するスタンスです

ヒプマイのキャラクターとパラライのキャラクターは、金銭というものの扱いというか距離感がだいぶ異なっているように思えるのです。

 

 

 

パラライとお金

 

パラライ勢がパラドックスライブに参加する理由をざっとまとめると

 

BAE→自己表現・自己実現

TCW→地上げにあっている土地を買う

COZMEZ→成り上がる(でかい家を買う)

悪漢奴等→組を立て直す

 

と、なんと3/4が金銭的理由

それも道理で、こちらは優勝賞金100億なんです。100億て。

あと、パラドックスライブは「参加を決める」ことが出来るようで、みんな野心を持って自分の意志でライブにやってきている。

 

 

14人の職業もなかなか個性的で、

BAE

・音楽一家の息子 21歳

・韓国でも有数の財閥生まれのモデル 21歳

・美貌のキャバ嬢 20歳

(ここはお金持ちチーム。3人ともインターナショナルスクールから国際系私立大学生)

 

 

TCW

・大学教授兼バーのオーナー 34歳

・バーのマスター 28歳

バーテンダー見習い 公称800歳

・家出した高校生(バーのホール) 17歳

(ここはバーと一蓮托生のチーム。そしてバーの土地が地上げにあってます)

 

 

COZMEZ

・貧困街の孤児(兄) 19歳

・貧困街の孤児(弟) 19歳

(公式で貧困街の孤児って書いてある。

あとお腹がすいた彼らは誰かからぶんどったカバンから出てきた菓子を嬉しそうに食べる。料理という選択肢はないのかも。)

 

 

悪漢奴等

・キャバクラのオーナー 28歳

・キャバクラのボーイ 27歳

定時制高校生 24歳

定時制高校生 19歳

定時制高校生 17歳

(苦労人のチーム。24歳高校生の父は服役していたそうな。組を再興するためにお金がほしいらしい)

 

 

もうほんとにBAE以外の面々は日々大変そうだ・・・大学教授以外は全員自営業とその従業員って感じで「ファミリー」感が強い。

 

 

 

ヒプマイとお金

 

一方ヒプマイ。ヒプマイ勢は中王区(国の中枢)からラップバトル用のマイクがいきなり贈られてくる。そしてどうやら拒否権はないも同然。彼らはメンバーの選定などは自由ですが、基本的に国に召集されてラップバトルに参加しています。特にリーダーは、参加に自分の意志が入る余地はない。

そして優勝賞金は1億円。それでもすごいんだけど100億の前には霞む・・・

 

 

彼らの職業は

Buster Bros.

萬屋 19歳

萬屋兼高校生 17歳

萬屋兼中学生 14歳

(中学生は株取引が趣味で少なくとも1600万円の資産があります)

 

 

MTC

・ヤクザの若頭 25歳

・警官(巡査部長) 29歳

・元軍人 28歳

(元軍人はボストンバッグ一杯に札束を保管しているシーンあり)

 

 

Fling Posse

・デザイナー 24歳

・小説家 24歳

・ギャンブラー 20歳

(ギャンブラーはおそらく現総理大臣の血族)

 

 

麻天狼(前回優勝)

・医師 35歳

・ホスト 29歳

・サラリーマン 29歳

(ホストは超一流。サラリーマンの年収は推定600万円)

 

 

どついたれ本舗

・芸人 26歳

・教師 26歳

・詐欺師 46歳

(芸人は一流芸能人、詐欺師の取引は10億円のレベル)

 

 

BAT

・由緒ある寺の跡継ぎ僧侶 19歳

V系バンドマン 18歳

・弁護士 35歳

(何も言うことはない裕福さ。バンドマンは未知数)

 

 

 

 

 

はっきりいうと、ヒプマイ勢はお金に困ってない。生活が安定している。

前回優勝チーム、麻天狼は賞金を3人で分けたんですが、サラリーマンの独步くんは3500万円の賞金をすぐに落として無くしてしまいました。それで「最近いいこと続きだ」とか言ってケロッとしている。

COZMEZの双子が聞いたら憤死しそうなエピソードです。

 

なんていうか、ヒプマイの人々はそれくらいお金との関係性がゆるい。たぶんヒプマイは意図的に金銭的な話とは距離をとっている雰囲気がします。ギャンブラー有栖川帝統以外のヒプマイのキャラクターがお金に困ってるの見たことないし、むしろお金の話をすること自体があまりない。そして帝統の実家はたぶん一番裕福で、だから帝統が貧しいのはギャグになっている。

ヒプマイの山田三兄弟の境遇(3人とも児童養護施設みたいので暮らしていた)も気の毒だったんですが、パラライはさらに厳しい環境です。TCW、悪漢奴等の未成年は施設にさえ入れていない。孤児のCOZMEZはどうやって生きていたのかすらよくわからない。

 

 

 

ヒップホップの成り立ち、というのは貧困と密接しているらしく、だとすると清く正しくヒップホップスピリットを持っているのはハングリーに金銭的理由を持っているパラライ勢なのかもしれません。

 

しかし日本においてヒップホップは意外にお坊ちゃんの音楽である、という事実もあります。有名なあの方とか、あの方とか、あの方とかもお金持ちやいいお家のご出身。(調べてみてね)

だとしたら経済的に困ってない人の織りなすヒプマイ世界はとても日本的なヒップホップだと言えるだろう。

 

 

金銭というものに異なったアプローチをとっているパラライとヒプマイ。その音楽や物語の道筋が今後どう異なっていくのか気になるところです。

 

 

 

(そして、実はBAEだけはまったく経済的に困っていないチームなのが面白い。彼らはわかりやすく上流階級なんですが、今後たとえば貧困階級出身らしいCOZMEZと当たった時に、ファン同士で階級闘争の代理戦争が起こるのではないかと勝手に案じています。)

 

 

続きのようなもの


パラライはパラドックスの夢を見るか? - pyonkospicaの日記