山田零の約束

 

先日発売されたナゴヤシンジュク戦のドラマでざっくりとこんなやりとりがありました。

 

神宮寺寂雷「加害者が(天国獄の兄を死に追い)やったという確証がない。そんな時点で訴えたらその人たちの人生がめちゃくちゃになる」

天国獄「お前は加害者の肩を持つのか!?」

寂雷「私は、可能性の話をしているんだ」

 

神宮寺寂雷相変わらずキレッキレやな。そりゃ獄も怒るわ。以前どこかで「ウルトラマンはあくまで正義の味方であり人類の味方ではない」という話を聞いたことがありますが、このケースの神宮寺寂雷はウルトラマンに相当すると思われます。ウルトラマンとはつまりultra-manであり超人なのでスーパーマンと同義だってのが面白い。似たような概念がアメリカではマントをつけた空飛ぶ新聞記者になり、日本人ではピカピカしたスーツアクターになった。(話がちょっとずれました)

ところで、スーパーマンという語には見覚えがある。なぜかというと今回のナゴヤシンジュク戦のドラマやバトル曲で頻出した言葉であり、おそらくナゴヤシンジュク戦のキーワードのひとつはスーパーマンのはずなのだ。たしか、スーパーマンを組みこんだ歌詞がオファーされたとどこかの雑誌で見た気がする。

そういえば、医のちからでヒトの命を救おうとする寂雷、仏教のちからで衆生に寄り添おうとする空却、法のちからで人間社会の秩序を守ろうとする天国獄、シンジュクとシブヤは三者三様の「ちからを持つ者(≒スーパーマン)」の葛藤が描かれたのだった。

(余談ですがヒプノシスマイクの原案をされている百瀬祐一郎さんが原作をされている漫画「THIS IS IT! 制作進行東雲次郎」の最新話#05 Await Rescue(1)でも

俺は兄貴と違ってなんでもできるスーパーマンじゃねぇんだよ

というセリフが出てきており、百瀬さんの中でスーパーマンブームが来ているようだ)

 

そして寂雷の言ってることはものすごーくよくわかる。私も可能性の話をするのが大好きなのだ!!!

ということで長い前振りだったんですが、今日は可能性の話、何の可能性かというと天谷奴零についての可能性の話がしたいのであった。

 

以前から天谷奴零が何のために動いているのか?というのを延々考えていました。

自称・詐欺師。ヒプノシスマイクを開発し、中王区にもたらした張本人。
かつては軍の技術開発部に所属していた。中王区や様々なディビジョンを巻き込み、裏で暗躍を続けるが、その思惑は謎に包まれている。自分の計画を全うする為には手段を選ばない。
常に人を食ったような態度を貫き、相手に真意を伝えることはないものの、約束したことは必ず守る義理堅さを持ち合わせている。山田三兄弟の父親。

公式プロフィールから引用です。

こんな書き方をしているということは、天谷奴零には秘密の計画があり、それは過去の約束に関係している・・・ということだろう。

じゃあ天谷奴零の約束とは何か?

 

大前提として、2020年の春からほそぼそと言ってるんですがヒプマイってエヴァみたいな話になるんじゃないかと個人的に考えていて、天谷奴零の妻=山田兄弟の母が物語の中心にいるのではないかと思っています。そういえば最初はこんな記事を書きました


ヒプノシスマイクと家族についての一考察(オオサカ・ナゴヤコミカライズ感想) - pyonkospicaの日記

 

 

可能性その1

天谷奴零は妻を死なせたい

当初は、天谷奴零は妻を死なせてあげるためにがんばっているんだというルートを開拓していました


山田一郎のお父さんとお母さんについての仮説(ヒプノシスマイク生命倫理編) - pyonkospicaの日記

 

可能性その2

天谷奴零は蛇で碇ゲンドウだよ

次に考えたのは天谷奴零は失楽園の蛇であるという可能性。そして妻の復活でもいいし、妻と永遠に生きたいという約束でもいいけれどいわゆる碇ゲンドウ的動機で計画を進めている。


失楽園 天谷奴零考察またはヒプノシスマイク考察 - pyonkospicaの日記

 

ここまでで一息ついてたんだけど、もうひとつ可能性があることに気がつきました。

 

可能性その3

天谷奴零は山田一郎を守っているよ

実は天谷奴零がしていることは全部山田兄弟を守るためだ、という可能性です。
施設に三人を入れたのも、中王区とつながってるのも、マイク関連の開発も、オオサカディビジョンにいることも、すべてかわいい息子を守るため。一郎たちの施設はろくな施設長ではなかったが、あの年まで死なずに大きくなれただけで天谷奴零的には大成功なのかもしれない。DRBメンバーになれば近くで息子たちを見守ることも可能。中王区に食い込み乙統女を誘導することで、なんらかの災いから一郎たちを守っている・・・

 

では、なぜ天谷奴零はそんなことをしているのか?

 

山田母はヤバいやつだよ説

予想される解の中でいちばん衝撃的でヤバいのは「山田母が山田兄弟を殺そうとしているから」だろう。オオサカイケブクロ戦で山田母は死んだという話になっていたけれど、一郎は母の死を目撃していないようなので実際はどうだかわかりません。だって最近まで天谷奴零だって二郎と三郎的には死んだことになってたんだし・・・

というわけで天谷奴零は山田母の魔の手から息子を守っているのだった。

でも問題がある。息子を殺そうとしている山田母から天谷奴零は山田兄弟を守っている、という展開は熱いんだけど、そうするとじゃあ天谷奴零の「約束」って何なんだ?誰とその約束をしたの?となってしまうんですよ。

なので

誰かが山田兄弟を消そうとしてる
→山田母が山田零に息子を守ってくれと頼む
→天谷奴零は約束を守り続けている

が順当な線かなぁと思います。

 

山田家は愛にあふれているよ説

いやいやまったく逆の展開だってありえる。

そういえば2ndバトルのイケブクロパートにて、山田一郎は“母の死”と“天谷奴零”になにかモヤモヤとした感覚をいだいている描写がありました。

十数年前、山田母に何が起こったのか。

山田一郎の求める真実とは?

天谷奴零が隠していることとは?

 

 

それは、母の死の原因は山田一郎にあるという事実。幼い一郎が何かをした、または母が一郎を守ったために母は死ぬこととなった。死ぬ間際、母は天谷奴零に言った。一郎には何もしらせないで。真実を教えないで。

それが山田零の守り続けている約束・・・

 

そうすると

他人の人生に影響をもたらしてこそ、人生には意味がある

という天谷奴零の格言の意味もひっくりかえることでしょう。これ、いかにもなんか悪いことしてそうな雰囲気の文字列ですが、天谷奴零が実は良いパパだという方向から見れば

息子たちの人生を守り良い影響をもたらした、俺の人生には意味があった

というとっても頑張り屋のお父さんの物語に変換することも可能なのでした。

 

 

天谷奴零と飴村乱数

ところで、天谷奴零は飴村乱数にちょっと優しいんだよね。飴村の処分はやめろとか、真正ヒプノシスマイクはあまり使うな(=飴村乱数を消費するな)とか中王区に口を出してくる。なので飴村乱数は天谷奴零の関係者のクローンである、ぶっちゃけ妻のクローンである、という可能性ももちろん考えることは可能。だけれど妻を少年型にする意味がよくわからんしコンテンツとしてのヒプノシスマイク倫理的にセーフなのかという謎が残る。

しかし、もし飴村乱数が天谷奴零の妻から生まれたんだとしたら、生前に彼女が山田零とした約束はおそらく

リズムの合間でまた逢う日まで

なので、それはそれで素敵な約束である。